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ティェンタオの自由訳漢詩 1932

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 盛唐26ー儲光羲
   洛陽道五首         洛陽道 五首
   献呂四郎中 其三     呂四郎中に献ず 其の三

  大道直如髪     大道(だいどう)   直(なお)きこと髪の如く
  春日佳気多     春日(しゅんじつ) 佳気(かき)多し
  五陵貴公子     五陵(ごりょう)の貴公子(きこうし)
  双双鳴玉珂     双双(そうそう)   玉珂(ぎょうか)を鳴らす

  ⊂訳⊃
          都大路は  髪の毛のように真っ直ぐで

          春の日は  めでたい気分に満ちている

          五陵の街の貴公子たちは

          馬を並べ  玉珂を鳴らして駆けていく


 ⊂ものがたり⊃ 儲光羲(ちょこうぎ:700?ー768)は兗州(山東省西部)の人、一説に閏州(江蘇省鎮江市)の人ともいいます。玄宗封禅の儀の翌年、崔国輔と同じ開元十四年(726)に二十七歳くらいで進士に及第しました。
 詩題の「洛陽道」は楽府題で、必ずしも洛陽を意味しません。「呂四郎中」(りょしろうちゅう)は尚書省礼部の主客郎中呂尚(りょしょう)のことと言われています。漢代の皇帝陵「五陵」には陵邑が置かれ、高官や富者の住地でした。そこから出世を約束された貴門の地という語感が生まれ、貴公子の枕詞のように用いられます。
 「双双」は二人ならんで。「玉珂」は馬の轡につける玉飾りのことで、馬が走れば澄んだ音を立てます。開元盛時の長安の華やかさを五言四句で描いて見事です。中国語で吟唱する場合の心地よさも想像されます。 

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