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ティェンタオの自由訳漢詩 1929

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 盛唐23ー祖詠
   終南望余雪         終南に余雪を望む

  終南陰嶺秀     終南(しゅうなん)  陰嶺(いんれい)秀で
  積雪浮雲端     積雪(せきせつ)   雲端(うんたん)に浮ぶ
  林表明霽色     林表(りんぴょう)  霽色(せいしょく)明らかに
  城中増暮寒     城中(じょうちゅう) 暮寒(ぼかん)を増す

  ⊂訳⊃
          終南山  高く聳える北の峰

          積雪が  浮雲の端に浮かんでいる

          林の表面が  明るく晴れた色になり

          長安の街に  夕べの寒さが増してくる


 ⊂ものがたり⊃ 租詠(966ー746?)は東都洛陽の人。王維と親交がありました。開元十二年(724)に二十六歳で進士に及第しますが、「終南望余雪」は科挙に出題された課題です。答案は五言六韻(十二句)の排律に作らなければならないのですが、租詠は四句作っただけで提出し、尋ねられると「これで意は尽くした」と言ったといいます。
 進士に及第しますが流入(官職に就くこと)できなかったのは、詩のせいかもしれません。「終南」は終南山のこと。長安の北にありますので、「陰嶺」(北側の峰)が見えます。「林表」は林の上空と解する説もありますが、麓の林の上面に日が射して明るくなったのでしょう。これで言い尽くしたと、租詠は頑固な詩人でした。
 流入できなかった租詠は汝水(河南省の川)のほとりに引き籠もって農耕生活を送り、四十八歳くらいの若さで亡くなりました。

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