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ティェンタオの自由訳漢詩 1921

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 盛唐15ー張九齢
   照鏡見白髪        鏡に照らして白髪を見る

  宿昔青雲志     宿昔(しゅくせき)  青雲(せいうん)の志
  蹉跎白髪年     蹉跎(さた)たり   白髪(はくはつ)の年
  誰知明鏡裏     誰(たれ)か知らん  明鏡(めいきょう)の裏(うち)
  形影自相憐     形影(けいえい)    自(おのず)から相憐れまんとは

  ⊂訳⊃
          むかしは青雲の志があったが

          何たることだ はや白髪の年だ

          思いをしなかったな  おいお前

          鏡に向かって苦笑い  憐れむようになろうとは


 ⊂ものがたり⊃ この詩は制作年不明ですが、「白髪」とあるので老年になってからの作品でしょう。前半二句は対句になっており、昔と今を比較します。「蹉跎」はつまずく意味ですが、具体的なつまずきをいうのではなく、自省の言葉でしょう。
 後半結びの「形影 自から相憐れまんとは」は、生身の自分と鏡の中の自分とが互に憐れみ合っていることで、ウイットのある表現です。詩は後世に影響を与え、李白はこの詩を意識して作ったと思われる五言絶句を残しています。
 開元二十八年(740)、張九齢は配地の荊州で亡くなりました。享年は六十三歳です。

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