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ティェンタオの自由訳漢詩 1911

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 盛唐5ー張説
   蜀道後期          蜀道にて期に後る

  客心争日月     客心(かくしん)   日月(じつげつ)と争い
  来往預期程     来往(らいおう)   預(あらかじ)め程(てい)を期す
  秋風不相待     秋風(しゅうふう)  相待(あいま)たず
  先至洛陽城     先(ま)ず至る    洛陽城(らくようじょう)

  ⊂訳⊃
          旅する心は  日月の運行と競うようだ

          旅の日程は  あらかじめ決めていたのだが

          秋の風は   待ってはくれず

          ひと足先に  洛陽の街に着くのであろう


 ⊂ものがたり⊃ 張説(ちょうえつ)は東京(とうと)洛陽の人。睿宗の垂拱四年(688)に二十二歳で科挙の諸科(学綜古今科)に及第しました。寒門の出でしたが、武后の人材登用策によって太子校書郎(従九品下)から累進して左補闕に進みます。
 詩は二十代の作品で、任務を帯びて蜀(四川省)に出張し、秋までに都洛陽に帰るつもりでした。それが何かの事情で遅れたのを弁解するように同行の人に披露した詩でしょう。
 二句目が口籠もる感じになっており、遅れた理由を説明する句が抜けてしまったのか、省略されているという説があります。なお、詩は筆で書いて人に見せるものであり、この詩の第一句「客心争日月」は筆で書いた場合、格好がいいとされています。
 

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