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ティェンタオの自由訳漢詩 1908

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 盛唐2ー賀知章
   題袁氏別業        袁氏の別業に題す

  主人不相識     主人(しゅじん)   相識(あいし)らず
  偶坐為林泉     偶坐(ぐうざ)するは林泉(りんせん)の為なり
  莫謾愁沽酒     謾(みだ)りに酒を沽(か)うを愁うること莫(なか)れ
  嚢中自有銭     嚢中(のうちゅう)  自(おのず)から銭(ぜに)有り

  ⊂訳⊃
          ご主人と  お会いするのははじめてですが

          上がり込んだのは  見事な庭があるからです

          どうか    お酒の心配などなさらぬように

          いやいや  財布に銭はつきものですから…


 ⊂ものがたり⊃ 賀知章は酒を好み、晩年は「四明狂客」などと称して飄々と暮らしました。詩題の「別業」は別荘のことですが、日本のように縁側に腰掛けるわけではありません。知らない人の別荘に上がり込んで「偶坐」(さし向いに坐る)し、その場で書いた詩と思われます。
 賀知章の酒好きは有名でしたので、袁氏がそのことを知っていることが前提になっており、三好達治は結句の「嚢中 自から銭有り」を、自他の嚢中を云々しているのではなく、なんとなく笑って誤魔化す口吻と解しています。

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