盛唐2ー賀知章
題袁氏別業 袁氏の別業に題す
主人不相識 主人(しゅじん) 相識(あいし)らず
偶坐為林泉 偶坐(ぐうざ)するは林泉(りんせん)の為なり
莫謾愁沽酒 謾(みだ)りに酒を沽(か)うを愁うること莫(なか)れ
嚢中自有銭 嚢中(のうちゅう) 自(おのず)から銭(ぜに)有り
⊂訳⊃
ご主人と お会いするのははじめてですが
上がり込んだのは 見事な庭があるからです
どうか お酒の心配などなさらぬように
いやいや 財布に銭はつきものですから…
⊂ものがたり⊃ 賀知章は酒を好み、晩年は「四明狂客」などと称して飄々と暮らしました。詩題の「別業」は別荘のことですが、日本のように縁側に腰掛けるわけではありません。知らない人の別荘に上がり込んで「偶坐」(さし向いに坐る)し、その場で書いた詩と思われます。
賀知章の酒好きは有名でしたので、袁氏がそのことを知っていることが前提になっており、三好達治は結句の「嚢中 自から銭有り」を、自他の嚢中を云々しているのではなく、なんとなく笑って誤魔化す口吻と解しています。
題袁氏別業 袁氏の別業に題す
主人不相識 主人(しゅじん) 相識(あいし)らず
偶坐為林泉 偶坐(ぐうざ)するは林泉(りんせん)の為なり
莫謾愁沽酒 謾(みだ)りに酒を沽(か)うを愁うること莫(なか)れ
嚢中自有銭 嚢中(のうちゅう) 自(おのず)から銭(ぜに)有り
⊂訳⊃
ご主人と お会いするのははじめてですが
上がり込んだのは 見事な庭があるからです
どうか お酒の心配などなさらぬように
いやいや 財布に銭はつきものですから…
⊂ものがたり⊃ 賀知章は酒を好み、晩年は「四明狂客」などと称して飄々と暮らしました。詩題の「別業」は別荘のことですが、日本のように縁側に腰掛けるわけではありません。知らない人の別荘に上がり込んで「偶坐」(さし向いに坐る)し、その場で書いた詩と思われます。
賀知章の酒好きは有名でしたので、袁氏がそのことを知っていることが前提になっており、三好達治は結句の「嚢中 自から銭有り」を、自他の嚢中を云々しているのではなく、なんとなく笑って誤魔化す口吻と解しています。