Quantcast
Channel: 漢詩を楽しもう
Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

ティェンタオの自由訳漢詩 1904

$
0
0
 初唐44ー張若虚
   春江花月夜           春江 花月の夜       (中?八句)

  江天一色無繊塵   江天(こうてん)一色  繊塵(せんじん)無く
  皓皓空中孤月輪   皓皓(こうこう)たり   空中の孤月輪(こげつりん)
  江畔何人初見月   江畔(こうはん)  何人(なんびと)か  初めて月を見る
  江月何年初照人   江月(こうげつ)  何(いず)れの年か  初めて人を照らす
  人生代代無窮已   人生(じんせい) 代代  窮(きわ)まり已(や)むこと無く
  江月年年秖相似   江月(こうげつ)  年年 秖(た)だ相似たり
  不知江月待何人   知らず  江月  何人(なんびと)をか待つ
  但見長江送流水   但(た)だ見る   長江の流水を送るを

  ⊂訳⊃
          江天一色   光に満ちて塵もなく
          皓皓と     夜空に浮かぶ月ひとつ
          川の岸辺で  誰が最初に月を見たのか
          月が初めて  人を照らしたのはいつなのか
          人の一生は  移り変わって果てしないが
          江上の月は  同じ姿で浮かんでいる
          江上の月よ  いったい誰を待っているのか
          いたずらに  長江の流れを見送るだけなのか


 ⊂ものがたり⊃ 中?八句のはじめ四句、「江天一色」は月の光で長江の流れも天空も一様に明るいということです。そのなかにぽっかり浮かんでいる月そのものに目を移します。そして月はいったいいつからあるのだろうかと空想します。
 つぎの四句は前半のまとめです。人の人生は移り変わっていくが、月は変わらずに存在する。月は何のために存在するのか、と疑問を差し挟みます。そこには不遇を嘆く気持ちが隠されているでしょう。
 

Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

Trending Articles