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ティェンタオの自由訳漢詩 1899

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 初唐39ー沈佺期
     邙山               邙山

  北邙山上列墳塋   北邙(ほくぼう)山上  墳塋(ふんえい)  列(つら)なり
  万古千秋対洛城   万古(ばんこ)千秋  洛城(らくじょう)に対す
  城中日夕歌鐘起   城中  日夕(にっせき)  歌鐘(かしょう)起こり
  山上惟聞松柏声   山上  惟(た)だ聞く   松柏(しょうはく)の声

  ⊂訳⊃
          北邙山の頂には  大小さまざまな墓が並び

          はるかな昔から  洛陽の街に向かい合う

          日暮れの街では  歌舞音曲のにぎわいだが

          北邙山の頂では  松柏が風に吹かれて泣くばかり


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「邙山」は洛陽の北にある北邙山のことで、漢代から墳墓の地として有名でした。「墳」は土饅頭、「塋」は囲いのある墓で、大小さまざまな墓になります。前半の二句で、墓は遠い昔から「洛城」(洛陽の街)に向き合っていると状況を示します。後半二句では、日暮れになると街は歌や音楽で賑わうが、北邙山の山頂では松や柏の風に鳴る音が聞こえるだけだと人生の無常を詠います。
 唐代になってこの七言絶句が人生の無常をを詠う詩の手本になるのは、宮廷詩の形式偏重に対して個人の抒情や精神性の萌芽があるからでしょう。「松柏」は墳墓に植える習慣の樹として多くの詩に歌われ、人生の無常を語る道具立てとして欠かせないものになります。

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