初唐30ー陳子昂
燕昭王 燕の昭王
南登碣石館 南のかた 碣石館(けつせきかん)に登り
遥望黄金台 遥かに黄金台(おうごんだい)を望む
丘陵尽喬木 丘陵 尽(ことごと)く喬木(きょうぼく)
昭王安在哉 昭王 安(いず)くに在りや
覇図悵已矣 覇図(はと) 悵(ちょう)として已(や)んぬるかな
駆馬復帰来 馬を駆って 復(ま)た帰り来たる
⊂訳⊃
南のかた 碣石館の跡に登り
はるかに 黄金台の方角を望む
見渡す丘は 巨木に蔽われ
燕の昭王は どこへ行ってしまったのか
痛ましくも 覇業の跡は消え去り
馬を走らせ 来た道をまたもどる
⊂ものがたり⊃ 「燕の昭王」は「軒轅台」と同じく「薊丘覧古」七首の一首で、戦国時代の燕(えん)の昭王(しょうおう)の遺跡を訪ねたときの詩です。薊丘(けいきゅう)の南にある碣石館の跡に登って黄金台の方を眺めると、丘陵には「喬木」(高い木)が生い茂っています。
「碣石館」は燕の昭王が稷下(しょっか)の学者鄒衍(すうえん)を招いて師事したところ。「黄金台」は天下の賢者を招くために昭王が建てたとされる台で、台上に千金を置いて賢者への贈り物としたと伝えられます。
そんな昭王の覇業の地も、いまは喬木に覆い尽くされ消えてしまっています。結びの「馬を駆って 復た帰り来たる」の一句に、時代に対する陳子昂の深い失望感が刻まれているようです。
燕昭王 燕の昭王
南登碣石館 南のかた 碣石館(けつせきかん)に登り
遥望黄金台 遥かに黄金台(おうごんだい)を望む
丘陵尽喬木 丘陵 尽(ことごと)く喬木(きょうぼく)
昭王安在哉 昭王 安(いず)くに在りや
覇図悵已矣 覇図(はと) 悵(ちょう)として已(や)んぬるかな
駆馬復帰来 馬を駆って 復(ま)た帰り来たる
⊂訳⊃
南のかた 碣石館の跡に登り
はるかに 黄金台の方角を望む
見渡す丘は 巨木に蔽われ
燕の昭王は どこへ行ってしまったのか
痛ましくも 覇業の跡は消え去り
馬を走らせ 来た道をまたもどる
⊂ものがたり⊃ 「燕の昭王」は「軒轅台」と同じく「薊丘覧古」七首の一首で、戦国時代の燕(えん)の昭王(しょうおう)の遺跡を訪ねたときの詩です。薊丘(けいきゅう)の南にある碣石館の跡に登って黄金台の方を眺めると、丘陵には「喬木」(高い木)が生い茂っています。
「碣石館」は燕の昭王が稷下(しょっか)の学者鄒衍(すうえん)を招いて師事したところ。「黄金台」は天下の賢者を招くために昭王が建てたとされる台で、台上に千金を置いて賢者への贈り物としたと伝えられます。
そんな昭王の覇業の地も、いまは喬木に覆い尽くされ消えてしまっています。結びの「馬を駆って 復た帰り来たる」の一句に、時代に対する陳子昂の深い失望感が刻まれているようです。