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ティェンタオの自由訳漢詩 清ー鄭 燮

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 清27ー鄭燮
     竹 石               竹   石

  咬定青山不放鬆   青山(せいざん)を咬定(こうてい)して放鬆(ほうしょう)せず
  立根原在破岩中   根を立つること  原(もと)  破岩(はがん)の中(うち)に在り
  千磨万撃還堅勁   千磨(せんま)   万撃(ばんげき)  還(ま)た堅勁(けんけい)
  任爾東西南北風   任爾(さもあらばあれ)  東西  南北の風

  ⊂訳⊃
          緑の山に根を張って  少しもゆらぐことがない

          根を突き立てているのは  岩の割れ目の奥底だ

          幾度こすられ叩かれても  堅く強く立っている

          東西南北  風がどこから吹いてこようとかまわない


 ⊂ものがたり⊃ 鄭燮(ていしょう:1693―1765)は興化(江蘇省興化)県の人。康煕三十三年(1693)に生まれ、乾隆元年(1736)に四十四歳で進士に及第します。范県(山東省)、ついで濰県(山東省濰坊市)の知県になり、乾隆十八年(1763)の大飢饉に際して非常の措置を取り多くの民を救いました。だが、上司の命に反したとの咎めをうけて免職になります。
 以後、揚州(江蘇省揚州市)に住んで詩詞、書画に勤しみました。当時の揚州は大都会で多くの書家画家が集まっていました。なかでも鄭燮の名は高く、一家を成して乾隆三十年になくなります。享年七十三歳でした。
 詩題の「竹石」(ちくせき)は鄭燮が描いた絵の題名で、その絵にみずから書きつけた題画詩です。内容的には詠物詩に属し、山の岩に根を張って生えている竹の「堅勁」(堅さと強さ)を詠って志をしめします。
 前半二句は山に生えている竹の生命力の強さを詠います。「咬定」はかみ締めること、「不放鬆」は乱れたりそそけたりしないこと。つまりしっかりと根を張って揺るがないことです。それは竹が「破岩」(割れた岩、岩の割れ目)の深いところに根をおろしているからだと詠います。
 後半二句は山の竹に対する賛嘆の言葉で、「千磨 万撃」はどれほどこすられ叩かれてもの意味です。「任爾」は爾(なんじ)に任すとも読め、風がどこから吹いてこようと平気であると詠うのです。自分の人生を竹に託して、そのような人物でありたいと願うのでしょう。

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