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ティェンタオの自由訳漢詩 元ー袁凱

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 元23ー袁凱
   京師得家書       京師にて家書を得たり

  江水三千里     江水(こうすい)  三千里
  家書十五行     家書(かしょ)   十五行
  行行無別語     行行(ぎょうぎょう)  別語(べつご)無く
  只道早帰郷     只(た)だ道(い)う   早く郷(きょう)に帰れと

  ⊂訳⊃
          長江の流れは  三千里

          届いた便りは  十五行

          どの行にも    書いてあるのはただひとつ

          はやく帰ってきてくださいと


 ⊂ものがたり⊃ 袁凱(えんがい:1316ー?)は華亭(江蘇省上海市松江県)の人。仁宗の延祐三年(1316)に生まれ、元末に府吏になります。「白燕」の詩が楊維禎に認められて詩名を高めます。五十三歳のときに明が建国し、洪武三年(1370)に監察御史になりますが、洪武帝に疎まれて病と称し故郷に隠棲します。没年は不明です。
 詩題の「京師」(けいし)は都のこと。ここでは朱元璋が建康(江蘇省南京市)においた王天府のことです。袁凱が王天府にいたとき、「家書」(家族からの書信)をえて感懐を述べた詩でしょう。「江水三千里」は遠いことの喩えで、遠くからきた妻からの手紙はたったの十五行。それでも嬉しくて幾度も読み返しますが、書いてあるのは「早く郷に帰れ」の三語だけというのです。朱元璋に仕えていても、望郷の念が強かったようです。 

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