Quantcast
Channel: 漢詩を楽しもう
Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

ティェンタオの自由訳漢詩 2291

$
0
0
 南宋44ー戴復古
    江村晩眺              江村の晩眺

  江頭落日照平沙   江頭(こうとう)の落日(らくじつ)  平沙(へいさ)を照らし
  潮退漁艠擱岸斜   潮(うしお)退いて  漁艠(ぎょとう)  岸に擱(お)かれて斜めなり
  白鳥一双臨水立   白鳥一双(いっそう)  水に臨(のぞ)んで立つ
  見人驚起入蘆花   人を見て  驚起(きょうき)して葦花(ろか)に入る

    ※ 二句目の「艠」は旁が「刀」です。外字になるので同音の字に変えています。

  ⊂訳⊃
          沈もうとする夕陽が  岸辺の砂を赤く照らし

          干潟になった岸に   舟が斜めに傾いている

          水辺に立っている   白鳥のつがいが

          人に驚き飛び立って  葦の花咲く茂みにきえる


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「江村」は川辺の村とも長江の近くの村とも解せます。その日暮れの眺めです。川のむこうに夕陽が沈もうとして、川辺の「平沙」(平らな砂浜)を照らしています。水のひいた岸辺に「漁艠」(細身の釣り舟)が斜めに傾いて残されています。水辺につがいの白鳥がいて、人影に驚いて飛びたち、花の咲いた葦の茂みに消えてゆきました。静寂のなかの動きがとえられています。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

Trending Articles