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ティェンタオの自由訳漢詩 1880

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 初唐20ー劉希夷
   代悲白頭翁         白頭を悲しむ翁に代る      (中?十句)

  今年花落顔色改   今年(こんねん)   花落ちて顔色(がんしょく)改まり
  明年花開復誰在   明年(みょうねん)  花開いて復(ま)た誰(たれ)か在る
  已見松柏摧為薪   已に見る  松柏(しょうはく)の摧(くだ)かれて薪と為(な)るを
  更聞桑田変成海   更に聞く  桑田(そうでん)の変じて海と成るを
  古人無復洛城東   古人(こじん)   洛城(らくじょう)の東に復(かえ)ること無く
  今人還対落花風   今人(こんじん)  還(ま)た落花(らっか)の風に対す
  年年歳歳花相似   年年歳歳  花  相似(あいに)たり
  歳歳年年人不同   歳歳年年  人  同じからず
  寄言全盛紅顔子   言(げん)を寄(よ)す   全盛(ぜんせい)の紅顔子(こうがんし)
  応憐半死白頭翁   応(まさ)に憐れむべし 半死(はんし)の白頭翁(はくとうおう)

  ⊂訳⊃
          今年  花が落ちれば  容色はさらに衰え
          明年  花が咲いても  誰がこの世にいるだろう
          墓地の松柏は  切り倒されて薪となり
          桑畑もやがて  海になるというではないか
          昔の人は  洛陽城の東にもどることなく
          今の人は  落花の風に向かって佇んでいる
          年年歳歳  咲く花は似ているが
          歳歳年年  花見る人は同じではない
          聞きたまえ    いまを盛りの娘たちよ
          憐れむべきは  半死半生の白頭翁だ


 ⊂ものがたり⊃ 中?の十句では小女の歎きを説明し、強調します。まず人生の無常に言及し、「松柏の摧かれて薪と為るを」と詠います。この句には典拠があり、「古詩十九首」の其の十四に「古墓は犂(す)かれて田と成り 松柏は摧かれて薪となる」とあるのを受けています。
 「桑田の変じて海と成る」にも故事があり、後漢の桓帝のとき、仙人の王方平(おうほうへい)が仙人の麻姑(まこ)を招くと、十八、九の美少女に見えました。王方平が怪しむと、麻姑は「この前お会いしてから、東の海が桑畑にかわり、また海になったのを三度見ました」と言って笑ったといいます。この伝説を踏まえて人の世の変転の激しいことに喩えるのです。
 つぎの対句「年年歳歳 花 相似たり 歳歳年年 人 同じからず」は詩中でもっとも有名な句です。元代の『唐才子伝』によると、「おじ」の宋之問(そうしもん)がこの句を気に入って自分に譲ってくれと頼み込みます。劉希夷はいったん承知したものの惜しくなり、自作として発表してしまいます。怒った宋之問は召使いに命じて劉希夷を殺してしまったというのです。
 名句のあと白頭翁が登場して、「紅顔子」(若く美しい人)に向かって「応に憐れむべし 半死の白頭翁」と呼びかけます。ここまでが前半です。
   

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