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ティェンタオの自由訳漢詩 1879

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 初唐19ー劉希夷
   代悲白頭翁         白頭を悲しむ翁に代る       (前四句)

  洛陽城東桃李花   洛陽城東   桃李(とうり)の花
  飛来飛去落誰家   飛び来たり  飛び去って誰(た)が家にか落つる
  洛陽女児惜顔色   洛陽の女児 顔色(がんしょく)を惜(お)しみ
  行逢落花長歎息   行々(ゆくゆく)  落花に逢(あ)うて長歎息す

  ⊂訳⊃
          洛陽城の東に  咲きほこる桃李の花よ
          風に吹かれて  いったいどこに落ちるのか
          洛陽の小女は  容色の移ろうさまに胸を痛め
          道を行きつつ  落花を浴びてため息をつく


 ⊂ものがたり⊃ この時代の長大な七言古詩の幾つかを割愛してきましたが、どうしても取り上げたい作品があります。劉希夷(りゅうきい:651ー679?)は汝州(河南省臨汝県)の人。上元二年(675)に二十五歳で進士に及第し、容色端麗、弁舌にすぐれ、酒を好み、琵琶に巧みであったと言われています。
 『唐詩選』七言古詩の白眉「白頭を悲しむ翁に代る」は二十八歳のときの作品とされており、先行する盧照粼や駱賓王の歌行体の作品よりも情緒や詠嘆にすぐれ、詩情に深化が見られると評されています。七言二十六句の詩は四、十、八、四句に分けて読むことができ、はじめの四句は序です。
 唐代洛陽の東には、後漢と北魏の都であった洛陽の遺跡がありましたので、「洛陽城東」と言った場合、繁栄と滅亡、二色のイメージを呼び起こすことになります。そこに咲いている「桃李の花」はともに春の花、紅花と白花です。その紅白の花は風に吹かれてどこに落ちるのか。落花のたよりなさを詠い、「顔色」(容色)の衰えるのを憂えている「女児」(乙女、小女)を登場させます。

 

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