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ティェンタオの自由訳漢詩 2286

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 南宋39ー翁巻
    郷村四月              郷村の四月

  緑遍山原白満川   緑は山原(さんげん)に遍(あまね)く  白は川に満つ
  子規声裏雨如烟   子規声裏(しきせいり)   雨は烟(けむり)の如し
  郷村四月閑人少   郷村(きょうそん)の四月  閑人(かんじん)少(まれ)なり
  纔了蚕桑又插田   纔(わずか)に蚕桑(さんそう)を了(おわ)れば  又(ま)た田(でん)に插(さ)す

  ⊂訳⊃
          山も野原もみどり色  川は白くかがやき

          煙るような雨の中を  不如帰が鳴きしきる

          四月の村に  暇な人間は稀である

          蚕がすめば  田植えが待っている


 ⊂ものがたり⊃ 翁巻(おうけん)は生没年不詳。永嘉(浙江省温州市)の人といいます。孝宗の淳煕十年(1183)に郷薦(きょうせん)をうけ、寧宗の嘉定四年(1211)に徐照(じょしょう)が死んだとき存命でした。だから孝宗から寧宗の時代にかけて在世したことになります。生涯官職につかず、趙師秀をたよって筠州に旅したり、閩地(福建省)に遊んだりしました。晩年は妻子とともに永嘉の山中にこもりました。
 詩は住んでいる村のようすを描きます。はじめ二句は自然のたたずまいです。山野の緑と川の白、「子規」(ほととぎす)の声と煙雨が描かれます。後半農民を思いやるのですが、政事批判をするわけではなく農家の忙しさを詠うだけです。

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