南宋31ー朱熹
試院雑詩五首 其二 試院雑詩 五首 其の二
寒燈耿欲滅 寒燈(かんとう) 耿(こう)として滅(めつ)せんと欲し
照此一窓幽 此(こ)の一窓(いっそう)を照らして幽(ゆう)なり
坐聴秋簷響 坐して秋簷(しゅうえん)の響きを聴(き)けば
淋浪殊未休 淋浪(りんろう)として 殊(こと)に未(いま)だ休(や)まず
⊂訳⊃
寒々と 灯りはまたたき消えようとし
部屋にひとつの 窓を照らしてほの暗い
坐して軒端の 雨だれの音を聞けば
秋雨は いつ止むともなく降りつづく
⊂ものがたり⊃ 詩題の「試院」(しいん)は科挙の試験場のことで、二十四歳のとき任官して地方官になり、任地の州で行われる解試に従事したときの作です。試験にかかわる役人は試験問題の作成中から試院に泊まり込み、合格者発表のときまで外出禁止でした。
前半二句は試院の一室で、夜遅くまで仕事をしているのでしょう。部屋にひとつしかない窓を眺めて沈鬱な感じです。後半の「秋簷」は秋の軒端のことですが、「響」とあり、次句に「淋浪」(しとしとと降るようす)とありますので、秋雨が降っているのでしょう。部屋に坐して軒端から落ちる雨だれの音を聞いています。音はいつ止むともなくつづいていると、閉じこめられていることの退屈と閉塞感を詠います。
試院雑詩五首 其二 試院雑詩 五首 其の二
寒燈耿欲滅 寒燈(かんとう) 耿(こう)として滅(めつ)せんと欲し
照此一窓幽 此(こ)の一窓(いっそう)を照らして幽(ゆう)なり
坐聴秋簷響 坐して秋簷(しゅうえん)の響きを聴(き)けば
淋浪殊未休 淋浪(りんろう)として 殊(こと)に未(いま)だ休(や)まず
⊂訳⊃
寒々と 灯りはまたたき消えようとし
部屋にひとつの 窓を照らしてほの暗い
坐して軒端の 雨だれの音を聞けば
秋雨は いつ止むともなく降りつづく
⊂ものがたり⊃ 詩題の「試院」(しいん)は科挙の試験場のことで、二十四歳のとき任官して地方官になり、任地の州で行われる解試に従事したときの作です。試験にかかわる役人は試験問題の作成中から試院に泊まり込み、合格者発表のときまで外出禁止でした。
前半二句は試院の一室で、夜遅くまで仕事をしているのでしょう。部屋にひとつしかない窓を眺めて沈鬱な感じです。後半の「秋簷」は秋の軒端のことですが、「響」とあり、次句に「淋浪」(しとしとと降るようす)とありますので、秋雨が降っているのでしょう。部屋に坐して軒端から落ちる雨だれの音を聞いています。音はいつ止むともなくつづいていると、閉じこめられていることの退屈と閉塞感を詠います。