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ティェンタオの自由訳漢詩 2278

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 南宋31ー朱熹
   試院雑詩五首 其二   試院雑詩 五首  其の二

  寒燈耿欲滅     寒燈(かんとう)  耿(こう)として滅(めつ)せんと欲し
  照此一窓幽     此(こ)の一窓(いっそう)を照らして幽(ゆう)なり
  坐聴秋簷響     坐して秋簷(しゅうえん)の響きを聴(き)けば
  淋浪殊未休     淋浪(りんろう)として  殊(こと)に未(いま)だ休(や)まず

  ⊂訳⊃
          寒々と  灯りはまたたき消えようとし

          部屋にひとつの  窓を照らしてほの暗い

          坐して軒端の   雨だれの音を聞けば

          秋雨は  いつ止むともなく降りつづく


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「試院」(しいん)は科挙の試験場のことで、二十四歳のとき任官して地方官になり、任地の州で行われる解試に従事したときの作です。試験にかかわる役人は試験問題の作成中から試院に泊まり込み、合格者発表のときまで外出禁止でした。
 前半二句は試院の一室で、夜遅くまで仕事をしているのでしょう。部屋にひとつしかない窓を眺めて沈鬱な感じです。後半の「秋簷」は秋の軒端のことですが、「響」とあり、次句に「淋浪」(しとしとと降るようす)とありますので、秋雨が降っているのでしょう。部屋に坐して軒端から落ちる雨だれの音を聞いています。音はいつ止むともなくつづいていると、閉じこめられていることの退屈と閉塞感を詠います。 

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