南宋28ー楊万里
道旁店 道旁の店
路旁野店両三家 路旁(ろぼう)の野店(やてん) 両三家(りょうさんか)
清暁無湯況有茶 清暁(せいぎょう)に湯(ゆ)無し 況(いわ)んや茶(ちゃ)有るをや
道是渠儂不好事 道(い)う 是(こ)れ 渠儂(かれ)は好事(こうじ)ならずと
青瓷瓶挿紫薇花 青瓷(せいじ)の瓶(へい)に挿す 紫薇(しび)の花
⊂訳⊃
街道にそって 宿屋が二三軒
爽やかな夜明けに お湯もなく茶はもとよりだ
宿屋の主人は 仕事いちずの人ではないらしい
見れば青磁の瓶に 百日紅の花一輪
⊂ものがたり⊃ 詩題の「道旁の店」(どうぼうのてん)は「路旁の野店」と同じ意味で、街道筋の旅館のことです。光宗の紹煕二年(1191)、江東転運使になって地方を巡視していた六十五歳のときの作品で、承句によると明け方に旅宿に着いたようです。爽やかな朝ですが、お湯もわかしてなく、茶も出てきません。役人一行のお着きですのでお湯や茶を準備して待つのが常識ですが、なんだかおかしい。
詩のみどころは後半二句で、「好事ならず」は仕事一本やりではないらしいという意味です。見れば、青磁の壺に「紫薇」(さるすべり)の花がいけて置いてあります。そのもてなしのセンスがいいと褒めるのです。この詩も楊万里の佳作のひとつとされており、風流を解する文化が芽生えていたことを示しています。
道旁店 道旁の店
路旁野店両三家 路旁(ろぼう)の野店(やてん) 両三家(りょうさんか)
清暁無湯況有茶 清暁(せいぎょう)に湯(ゆ)無し 況(いわ)んや茶(ちゃ)有るをや
道是渠儂不好事 道(い)う 是(こ)れ 渠儂(かれ)は好事(こうじ)ならずと
青瓷瓶挿紫薇花 青瓷(せいじ)の瓶(へい)に挿す 紫薇(しび)の花
⊂訳⊃
街道にそって 宿屋が二三軒
爽やかな夜明けに お湯もなく茶はもとよりだ
宿屋の主人は 仕事いちずの人ではないらしい
見れば青磁の瓶に 百日紅の花一輪
⊂ものがたり⊃ 詩題の「道旁の店」(どうぼうのてん)は「路旁の野店」と同じ意味で、街道筋の旅館のことです。光宗の紹煕二年(1191)、江東転運使になって地方を巡視していた六十五歳のときの作品で、承句によると明け方に旅宿に着いたようです。爽やかな朝ですが、お湯もわかしてなく、茶も出てきません。役人一行のお着きですのでお湯や茶を準備して待つのが常識ですが、なんだかおかしい。
詩のみどころは後半二句で、「好事ならず」は仕事一本やりではないらしいという意味です。見れば、青磁の壺に「紫薇」(さるすべり)の花がいけて置いてあります。そのもてなしのセンスがいいと褒めるのです。この詩も楊万里の佳作のひとつとされており、風流を解する文化が芽生えていたことを示しています。