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ティェンタオの自由訳漢詩 2274

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 南宋27ー楊万里
   初入淮河三首 其一  初めて淮河に入る 三首  其の一

  船離洪沢岸頭沙   船は洪沢(こうたく)岸頭(がんとう)の沙(すな)を離る
  人到淮河意不佳   人は淮河(わいが)に到って  意(い)  佳(か)ならず
  何必桑乾方是遠   何ぞ必ずしも桑乾(かんそう)を方(はじ)めて是(こ)れ遠しとせんや
  中流以北即天涯   中流以北  即ち天涯(てんがい)

  ⊂訳⊃
          船は洪沢湖岸の砂浜をはなれ

          淮水に至ると気分が悪くなる

          桑乾河に行って初めて  故郷の遠さがわかると詠うなかれ

          流れの真ん中から北は  天の果てだ


 ⊂ものがたり⊃ 詩題「初めて淮河に入る」の「初」は、宋金国境の淮水にはみだりに立ち入ることが出来なかったことを示しています。「洪沢」は江蘇省盰眙県の北にある洪沢湖のことで、淮水の流路に属する湖です。洪沢湖の砂浜から舟を出して金使を迎えるのですが、淮水が国境線であることを思うと「意 佳ならず」、気分がよくありません。
 「桑乾」は北京の西を流れる永定河の上流のことで、金はいまの北京の地に都を置いていました。唐詩などでは桑乾河までゆかないと故国は遠いという感じがしないなどと詠っていますが、いまは淮水の流れの真ん中から北は天の果てのようなものだと、華北が失われていることを嘆くのです。

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