南宋26ー楊万里
寒 雀 寒 雀
百千寒雀下空庭 百千の寒雀(かんじゃく) 空庭(くうてい)に下(くだ)り
小集梅梢話晩晴 梅の梢に小集(しょうしゅう)して 晩晴(ばんせい)に話(わ)す
特地作団喧殺我 特地(とくち) 団(だん)を作(な)して 我(われ)を喧殺(けんさつ)す
忽然驚散寂無声 忽然(こつぜん) 驚き散じて 寂(せき)として声(こえ)無し
⊂訳⊃
無数の雀が ひとけのない庭におりてきて
梅の梢にしばし集まり 晴れた日暮れを鳴きかわす
わざわざ群れをなして やかましく騒ぎたて
なんに驚いたのか さっと飛びさり物音ひとつしなくなる
⊂ものがたり⊃ 詩題の「寒雀」は冬の雀のこと。「凍蝿」と同じ常州での作品で、「晴」と「声」、同韻を踏んでいることが繋がりを示しています。起承句は無数の雀が「空庭」(ひとけのない庭)におりてきて、梅の木の梢にとまって鳴きかわしています。「晩晴」は晴れた夕暮れのことで、それを喜んで鳴くのです。
転句の「特地」はことさらに、わざと、という意味の俗語で、わざわざ群れをなして「我」を攻め殺すかのように鳴きたてます。すると突然、なにかに驚いたのでしょうか。雀の群れはさっと飛び去って、あとは「寂として声無し」です。
蝿とちがって雀は悪い喩えには用いませんが、後半の二句からは、いろいろと騒ぎたてて自分を弾劾した者たちが急にいなくなったという感じが読みとれます。左遷地での感懐が皮肉まじりに詠われているようです。
寒 雀 寒 雀
百千寒雀下空庭 百千の寒雀(かんじゃく) 空庭(くうてい)に下(くだ)り
小集梅梢話晩晴 梅の梢に小集(しょうしゅう)して 晩晴(ばんせい)に話(わ)す
特地作団喧殺我 特地(とくち) 団(だん)を作(な)して 我(われ)を喧殺(けんさつ)す
忽然驚散寂無声 忽然(こつぜん) 驚き散じて 寂(せき)として声(こえ)無し
⊂訳⊃
無数の雀が ひとけのない庭におりてきて
梅の梢にしばし集まり 晴れた日暮れを鳴きかわす
わざわざ群れをなして やかましく騒ぎたて
なんに驚いたのか さっと飛びさり物音ひとつしなくなる
⊂ものがたり⊃ 詩題の「寒雀」は冬の雀のこと。「凍蝿」と同じ常州での作品で、「晴」と「声」、同韻を踏んでいることが繋がりを示しています。起承句は無数の雀が「空庭」(ひとけのない庭)におりてきて、梅の木の梢にとまって鳴きかわしています。「晩晴」は晴れた夕暮れのことで、それを喜んで鳴くのです。
転句の「特地」はことさらに、わざと、という意味の俗語で、わざわざ群れをなして「我」を攻め殺すかのように鳴きたてます。すると突然、なにかに驚いたのでしょうか。雀の群れはさっと飛び去って、あとは「寂として声無し」です。
蝿とちがって雀は悪い喩えには用いませんが、後半の二句からは、いろいろと騒ぎたてて自分を弾劾した者たちが急にいなくなったという感じが読みとれます。左遷地での感懐が皮肉まじりに詠われているようです。