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ティェンタオの自由訳漢詩 2271

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 南宋24ー楊万里
   居初夏午睡起          居の初夏 午睡 
   二絶句 其二            より起く 二絶句  其の二

  梅子留酸軟歯牙   梅子(ばいし)  酸(さん)を留(とど)めて歯牙(しが)を軟(なん)にす
  芭蕉分緑与窗紗   芭蕉(ばしょう)  緑を分かちて窓紗(そうしゃ)に与う
  日長睡起無情思   日(ひ)長く     睡起(すいき)して情思(じょうし)無く
  見児童捉柳花   (かん)に見る  児童の柳花(りゅうか)を捉(とら)うるを

  ⊂訳⊃
          梅の実は酸っぱい味を残して  歯が浮くようだ

          芭蕉の葉は   窓の薄絹に緑の影を映しだす

          夏の日は長く  昼寝から覚めてぼんやりと

          子供たちが   柳絮を追うのを眺めている


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「居」(かんきょ)には仕方なく引き籠もっているという語感があります。乾道二年(1166)、四十歳のときの作品で、父の喪のために帰郷していた時期の作品でしょう。初夏、昼寝から覚めて梅の実を食べました。口中に「酸」(すっぱい味)が残っていて、歯が浮きそうです。
 窓の方をみると、庭の芭蕉の葉の緑色が「窓紗」(窓に張ってある薄絹)に映っています。転句の「情思」は気持ち、思いのことで、それが「無」であるのはぼんやりした状態をいいます。そんなのどかな気分で、子供たちが「柳花」(柳絮)を追いかけているのを眺めているというのです。
 この詩は楊万里の代表作とされていて、楊万里の個性、ちょっとひねったアンニュイな感じや描写のスタイルがよくあらわされている作品として高い評価を受けています。ただし、異論もあります。

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