南宋21ー范成大
四時田園雑興 四時田園雑興
夏日 其一 夏日 其の一
梅子金黄杏子肥 梅子(ばいし)は金黄(きんおう) 杏子(きょうし)肥(こ)え
麦花雪白菜花稀 麦花(ばいか)は雪白(せっぱく) 菜花(さいか)稀(まれ)なり
日長籬落無人過 日(ひ)長くして 籬落(りらく)に人の過(よ)ぎる無く
惟有蜻蜓蛺蝶飛 惟(た)だ蜻蜓(せいてい) 蛺蝶(きょうちょう)の飛ぶ有るのみ
⊂訳⊃
梅は黄金色に熟し 杏の実もふくらみ
麦の花は真っ白く 菜の花もまばらになった
日脚は延びたが 垣根のあたりを通る人もなく
飛んでいるのは 蜻蛉と蝶々だけ
⊂ものがたり⊃ 「夏日」(かじつ)其の一は初夏でしょう。梅は黄色に色づき、杏の実も大きくなりました。麦は雪のような白い花を咲かせ、菜の花は時期を過ぎて疎らになっていると、まず季節の移りかわりを描きます。だが、なんとなくアンニュイな気分です。生け垣のそとには通る人の影もなく、蜻蛉や蝶々が飛んでいるだけです。
四時田園雑興 四時田園雑興
夏日 其一 夏日 其の一
梅子金黄杏子肥 梅子(ばいし)は金黄(きんおう) 杏子(きょうし)肥(こ)え
麦花雪白菜花稀 麦花(ばいか)は雪白(せっぱく) 菜花(さいか)稀(まれ)なり
日長籬落無人過 日(ひ)長くして 籬落(りらく)に人の過(よ)ぎる無く
惟有蜻蜓蛺蝶飛 惟(た)だ蜻蜓(せいてい) 蛺蝶(きょうちょう)の飛ぶ有るのみ
⊂訳⊃
梅は黄金色に熟し 杏の実もふくらみ
麦の花は真っ白く 菜の花もまばらになった
日脚は延びたが 垣根のあたりを通る人もなく
飛んでいるのは 蜻蛉と蝶々だけ
⊂ものがたり⊃ 「夏日」(かじつ)其の一は初夏でしょう。梅は黄色に色づき、杏の実も大きくなりました。麦は雪のような白い花を咲かせ、菜の花は時期を過ぎて疎らになっていると、まず季節の移りかわりを描きます。だが、なんとなくアンニュイな気分です。生け垣のそとには通る人の影もなく、蜻蛉や蝶々が飛んでいるだけです。