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ティェンタオの自由訳漢詩 2258

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 南宋11ー李清照
    声声慢              声声慢          (下片九句)

  満地黄花堆積    地に満つる黄花(こうか)  堆積(たいせき)す
  憔悴損         憔悴(しょうすい)し損(そん)じ
  如今有誰堪摘    如今(じょこん)  誰か摘むに堪(た)うるもの有(あ)らん
  守着窗児       窗児(まど)を守着(しゅちゃく)し
  独自怎生得黒    独自(ひとり)   黒(くろ)むを得るを怎生(いかん)せん
  梧桐更兼細雨    梧桐(ごとう)   更に細雨(さいう)を兼(か)ね
  到黄昏 点点滴滴  黄昏(こうこん)に到って  点点(てんてん)  滴滴(てきてき)
  這次第         這(こ)の次第
  怎一個愁字了得   怎(いか)でか一個の  愁(しゅう)の字もて了(りょう)し得ん

  ⊂訳⊃
          地面いっぱいに  菊の花が散り敷き
          やつれ疲れて
          いまとなっては  手にする者もいない
          窓辺にはりつき
          一人ぼっちで  暗くなるのを眺めている
          萎えた青桐に  小雨が降りはじめ
          暮れ方のいま  雫の垂れる音がする
          このなりゆきは
          一個の愁の字で  いいつくせるものではない


 ⊂ものがたり⊃ 下片では庭をみています。悲しみはますます深くなり、庭には菊の花が散り敷いて「堆積」しています。「如今 誰か摘むに堪うるもの有らん」と詠いますが、誰も相手にしなくなった老いの身を喩えるかのようです。
 窓辺に顔を寄せて、夜のとばりが降りて来るのをひとり見詰めていると、どうしようもない気持ちになり、そこに小雨が降ってきました。秋になって葉の少なくなった「梧桐」(あおぎり)を雨が濡らし、雫が「点点滴滴」とたれています。この成りゆきは、「愁」のひとことではいい尽くせないほど心に深く沁みてくるものだと嘆きます。

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