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ティェンタオの自由訳漢詩 2257

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 南宋10ー李清照
    声声慢              声声慢          (上片十句)

  尋尋覓覓       尋尋(じんじん)  覓覓(べきべき)
  冷冷清清       冷冷(れいれい)  清清(せいせい)
  悽悽慘慘戚戚    悽悽(せいせい)  慘慘(さんさん)  戚戚(せきせき)
  乍暖還寒時候    乍(たちま)ち暖かくして  還(ま)た寒き時候(じこう)は
  最難将息       最(もつと)も将息(しょうそく)し難(がた)し
  三盃両盞淡酒    三盃(さんばい)両盞(りょうさん)の淡酒(たんしゅ)もて
  怎敵他晩来風急   怎(いか)でか晩来(ばんらい)の風の急なるに敵(てき)せん
  雁過他         雁(がん)の過(よぎ)るや
  正傷心         正(まさ)に心を傷(いた)ましむ
  却是旧時相識    却(かえ)って是(こ)れ   旧時(きゅうじ)の相識(そうしき)

  ⊂訳⊃
          尋ね尋ね  求め求める
          冷えびえと透きとおり
          悲しくて   傷ましく  そして寂しい
          暖かいと思えば  また寒くなる季節は
          心も体も  やすまるときがなく
          二三杯の薄酒で
          どうして  夕暮れの急な風に堪えられよう
          雁が飛んで来ると
          心は傷む
          雁のことを  私は昔から知っていた


 ⊂ものがたり⊃ 詞題の「声声慢」(せいせいまん)は曲名です。晩秋の夕暮れ時のどうしようもない淋しさ、心もとなさを曲に合わせて詠います。夫の死後、生活もままならなくなった晩年の作品でしょう。上片の冒頭、二字句が七つも並べてあり、切迫した心情を訴えます。二字句は音調と意味を備えており、訳に反映させました。
 つぎの四句は晩秋の不安定な気候を描き、「三盃両盞」の薄酒では日暮れの急な風に堪えられないと詠います。「怎敵他晩来風急」は「怎でか敵せん 他(か)の晩来の風の急なるに」と訓ずることもできますが、「他」は動詞の下につく接尾語と解する説によりました。 上片の結び三句は空飛ぶ雁を見上げ、雁は毎年飛んでくるが、自分の人生はいっこうに良くならないと嘆くのです。 

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