Quantcast
Channel: 漢詩を楽しもう
Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

ティェンタオの自由訳漢詩 2253

$
0
0
 南宋6ー陳与義
     牡 丹                牡 丹

  一自胡塵入漢関   一(ひと)たび  胡塵(こじん)の漢関(かんかん)に入ってより
  十年伊洛路漫漫   十年  伊洛(いらく)  路(みち)漫漫(まんまん)
  青墩渓畔龍鐘客   青墩渓畔(せいとんけいはん)  龍鐘(りょうしょう)の客(かく)
  独立東風看牡丹   独り東風(とうふう)に立って牡丹(ぼたん)を看(み)る

  ⊂訳⊃
          夷狄の兵が  国境を越えて十年

          遥かな洛陽  遠く果てしない路

          青墩渓のほとりに  やつれ姿の仮住まい

          春風のなか  ひとり佇んで牡丹をみる


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「牡丹」は洛陽の名花でした。故郷の花を江南でみての感懐です。紹興六年(1136)、四十六歳で隠退したあとの作品で、漢を借りて「漢関」といいますが、国境の意味です。
 靖康元年(1126)に都汴京が陥落してから十年がたっています。「伊洛」は伊水と洛水のことで、故郷の洛陽(もしくは都の地)を意味します。そこから遠く離れてしまったと嘆くのです。「青墩渓」は浙江省桐郷県の北にあり、「龍鐘」は老いやつれたさま、涙がぽろぽろ流れるといった意味の形容詞です。異郷で老い、疲れ果て、「東風」(春風)のなか牡丹の花を眺めていると、晩年の感懐を詠います。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>