南宋2ー陳与義
中牟道中二首 其一 中牟道中 二首 其の一
雨意欲成還未成 雨意(うい) 成(な)らんと欲して還(な)お未(いま)だ成らず
帰雲却作伴人行 帰雲(きうん) 却(かえ)って人に伴(ともな)って行くを作(な)す
依然壊郭中牟県 依然たる壊郭(かいかく) 中牟県(ちゅうぼうけん)
千尺浮屠管送迎 千尺の浮屠(ふと) 送迎を管(かん)す
⊂訳⊃
雨は降ろうとして降りださず
雲を道づれに 故郷へむかう
中牟県の城壁は崩れたままだ
千尺の仏塔が 送迎の役目をつとめている
⊂ものがたり⊃ 詩題の「中牟」(河南省中牟県)は汴京の西三十五㌔㍍のところにあり、都が陥落して故郷の洛陽へ避難する途中の作です。雨が降りそうで降らないまま、「中牟県」の城壁までたどりつきました。「壊郭」は壊れた城壁で、金軍が侵攻するなか国の守りを憂えるのでしょう。
「浮屠」は仏教や仏僧の蔑称で、ここでは「千尺」とあるので仏塔と解されます。「千尺」(約300㍍)は誇張であるにしても、高く聳える仏塔が国の役にはたたないと、国難を憂える気持ちを詠います。
中牟道中二首 其一 中牟道中 二首 其の一
雨意欲成還未成 雨意(うい) 成(な)らんと欲して還(な)お未(いま)だ成らず
帰雲却作伴人行 帰雲(きうん) 却(かえ)って人に伴(ともな)って行くを作(な)す
依然壊郭中牟県 依然たる壊郭(かいかく) 中牟県(ちゅうぼうけん)
千尺浮屠管送迎 千尺の浮屠(ふと) 送迎を管(かん)す
⊂訳⊃
雨は降ろうとして降りださず
雲を道づれに 故郷へむかう
中牟県の城壁は崩れたままだ
千尺の仏塔が 送迎の役目をつとめている
⊂ものがたり⊃ 詩題の「中牟」(河南省中牟県)は汴京の西三十五㌔㍍のところにあり、都が陥落して故郷の洛陽へ避難する途中の作です。雨が降りそうで降らないまま、「中牟県」の城壁までたどりつきました。「壊郭」は壊れた城壁で、金軍が侵攻するなか国の守りを憂えるのでしょう。
「浮屠」は仏教や仏僧の蔑称で、ここでは「千尺」とあるので仏塔と解されます。「千尺」(約300㍍)は誇張であるにしても、高く聳える仏塔が国の役にはたたないと、国難を憂える気持ちを詠います。