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ティェンタオの自由訳漢詩 2249

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 南宋2ー陳与義
   中牟道中二首 其一      中牟道中 二首  其の一

  雨意欲成還未成   雨意(うい)   成(な)らんと欲して還(な)お未(いま)だ成らず
  帰雲却作伴人行   帰雲(きうん)  却(かえ)って人に伴(ともな)って行くを作(な)す
  依然壊郭中牟県   依然たる壊郭(かいかく)  中牟県(ちゅうぼうけん)
  千尺浮屠管送迎   千尺の浮屠(ふと)  送迎を管(かん)す

  ⊂訳⊃
          雨は降ろうとして降りださず

          雲を道づれに  故郷へむかう

          中牟県の城壁は崩れたままだ

          千尺の仏塔が  送迎の役目をつとめている


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「中牟」(河南省中牟県)は汴京の西三十五㌔㍍のところにあり、都が陥落して故郷の洛陽へ避難する途中の作です。雨が降りそうで降らないまま、「中牟県」の城壁までたどりつきました。「壊郭」は壊れた城壁で、金軍が侵攻するなか国の守りを憂えるのでしょう。
 「浮屠」は仏教や仏僧の蔑称で、ここでは「千尺」とあるので仏塔と解されます。「千尺」(約300㍍)は誇張であるにしても、高く聳える仏塔が国の役にはたたないと、国難を憂える気持ちを詠います。

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