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ティェンタオの自由訳漢詩 2247

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 北宋72ー張舜民
     村 居                村 居

  水繞陂田竹繞籬   水は陂田(ひでん)を繞(めぐ)り  竹は籬(まがき)を繞る
  楡銭落尽槿花稀   楡銭(ゆせん)  落ち尽くして  槿花(きんか)稀(まれ)なり
  夕陽牛背無人臥   夕陽(せきよう)  牛背(ぎゅうはい)に人の臥(ふ)する無し
  帯得寒鴉両両帰   寒鴉(かんあ)を帯(お)び得て   両両(りょうりょう)に帰る

  ⊂訳⊃
          段々畑を水路が巡り  竹は垣根のまわりを巡って茂る

          楡の葉は散りつくし  木槿の花もまばらである

          夕陽をあびて      牛の背中で居眠りをするでもなく

          冬の鴉を止まらせて  ともに歩いてゆっくりかえる


 ⊂ものがたり⊃ 北宋の最後に張舜民(ちょうしゅんみん)の心暖まる詩を一首加えておきます。張舜民(生没年不詳)は邠州(陝西省彬県)の人。陳師道の姉の夫で、蘇軾とも交遊があったといいます。邠州出身の張舜民がどんな経緯で陳師道の姉と結ばれたのか詳細は不明です。
 詩題の「村居」(そんきょ)は村里住まいのこと。晩秋の日暮れの点景を描いています。「陂田」は段々畑、「楡銭」は楡の葉が穴明き銭に似ていることから喩えていうものです。楡の葉は落ちてしまい、木槿(むくげ)の花もまばらになった晩秋の山里です。
 「牛背に人の臥する無し」は、人が牛の背に寝そべることはできませんので、牛の背で居眠りをしなはらゆくわけでもなくという意味でしょう。牛の背に「寒鴉」(冬の鴉)を止まらせていっしょに家路をたどっていると、山里の日暮れののどかな風景を詠って秀逸、実に心穏やかな詩です。


     ☆ 本日をもって北宋を終了します。次回は9月1日(火)から
        南宋の詩人たちを掲載します。

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