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ティェンタオの自由訳漢詩 2244

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 北宋69ー陳師道
   除夜対酒贈少章      除夜 酒に対して少章に贈る

  歳晩身何託     歳晩(さいばん)  身  何(なに)にか託(たく)せん
  燈前客未空     燈前(とうぜん)   客  未(いま)だ空(むな)しからず
  半生憂患裏     半生(はんせい)  憂患(ゆうかん)の裏(うち)
  一夢有無中     一夢(いちむ)    有無(うむ)の中(うち)
  髪短愁催白     髪(かみ)短くして  愁いは白きを催(もよお)し
  顔衰酒借紅     顔(かんばせ)衰えて  酒もて紅(くれない)を借(か)る
  我歌君起舞     我れ歌わん   君(きみ)起(た)って舞え
  潦倒略相同     潦倒(ろうとう)  略々(ほぼ)  相同(あいおな)じ

  ⊂訳⊃
          今年も暮れようとし   なんに頼ればいいのか
          わが家の灯火の前に  やってくる客はまだいる
          わたしの半生は  悩みと苦労の連続だ
          ときに描く夢も   すぐに消えてしまう
          髪は少なくなり   愁いによって白髪がふえ
          顔はやつれて   酒の力で赤くなる
          さあ俺は歌うぞ  君は立って踊りたまえ
          落ちぶれているのは  お互いさまだ


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「少章」(しょうしょう)は友人秦覯(しんこう)の字で、秦覯は秦観の弟です。神宗の元豊七年(1084)、三十二歳の陳師道は貧困のため妻子を養うのが困難でした。外舅(妻の父)の郭槩(かくがい)が四川提刑になって成都(四川省成都市)に赴任することになったので、妻と三人の子供を外舅に預けて蜀地にやり、ひとりで暮らしている時期がありました。そんな年の除夜の日に秦覯が訪ねてきて、酒を飲みながら作った詩です。
 はじめの二句は孤独な歳末に訪ねてきてくれた友への感謝の言葉です。中四句二組の対句は自己の貧窮をかたります。そして結びの二句で自分をはげまし、その場を盛り上げます。「潦倒」はうらぶれたさまで、杜甫の詩「登高」(ティェンタオの自由訳漢詩689、2010.6.10のブログ参照)に「艱難苦だ恨む 繁霜の鬢 潦倒新たに停む 濁酒の杯」があります。 

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