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ティェンタオの自由訳漢詩 2241

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 北宋66ー秦観
   春日四首 其二          春日 四首  其の二

  一夕軽雷落万糸   一夕(いっせき)  軽雷(けいらい)  万糸(ばんし)を落とし
  霽光浮瓦碧参差   霽光(せいこう)  瓦(かわら)に浮かんで  碧(みどり)  参差(しんし)たり
  有情芍薬含春涙   情(じょう)有る芍薬(しゃくやく)は春涙(しゅんるい)を含み
  無力薔薇臥暁枝   力(ちから)無き薔薇(しょうび)は暁(あかつき)の枝に臥(ふ)す

  ⊂訳⊃
          昨夜は弱い雷が鳴って  小糠雨が降った

          雨後の陽は甍に映えて  波うつ瑠璃の色

          芍薬は  春の愁いに涙ぐみ

          野茨は  枝にからんで暁に咲く


 ⊂ものがたり⊃ 「万糸」は数え切れないほどの糸で、細かい雨でしょう。「霽光」は雨あがりの陽の光。「碧」は濡れた瑠璃瓦の色のことで、それが「参差」(長短高低入り混じっているさま)とつらなっています。雨後の街並を俯瞰した見事な描写です。
 其の二の詩は名作として有名ですが、とくに後半の二句は名句として名高いものです。「芍薬」と「薔薇」が対句として並置され、芍薬は泣いているように咲き、薔薇は弱々しく「暁枝」(明け方の枝)にまつわりついて咲いていると詠います。薔薇は唐代には栽培されていたそうですが、西洋バラを頭に描いてはいけません。「しょうび」は野茨のことで、ここでは野に生えている本来の野茨でしょう。

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