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ティェンタオの自由訳漢詩 2240

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 北宋65ー秦観
   春日四首 其一          春日 四首  其の一

  幅巾投暁入西園   幅巾(ふくきん)  暁(あかつき)に投じて  西園(せいえん)に入れば
  春動林塘物物鮮   春は林塘(りんとう)を動かして   物物(ぶつぶつ)鮮(あざ)やかなり
  却憩小亭纔日出   却(かえ)って小亭に憩(いこ)えば  纔(わずか)に日(ひ)出づ
  海棠花発麝香眠   海棠(かいどう)の花発(ひら)いて  麝香(じゃこう)眠る

  ⊂訳⊃
          略した頭巾で早朝  西の庭園にはいると

          春は林や堤に兆し  物はみな鮮やかである

          亭で休んでいると  やっと朝日がさし

          海棠の花が咲いて  麝香鹿が眠っている


 ⊂ものがたり⊃ 「春日(しゅんじつ)四首」は春の日の景物を繊細な感覚で詠います。「幅巾」は髪をうしろへ被うだけの頭巾で、くだけた格好です。そんな姿で早朝の庭園にいくと、春の気配が林や池のあたりに動きはじめており、物は皆いきいきとしています。庭の「亭」(あずまや)でやすんでいると、やがて朝日がさしてきて、目ざめるような色の海棠の花が咲き、麝香鹿が眠っていました。
 麝香鹿は鹿の一種で、雌雄ともに角があります。雄の臍のあたりに麝香嚢があって香料を採取しますので、貴重な珍しい鹿として珍重されました。海棠の花と麝香鹿の取り合わせに幻想的な趣味を窺わせる作品です。 

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