北宋63ー黄庭堅
雨中登岳陽楼 雨中 岳陽楼に登り
望君山 二首 其二 君山を望む 二首 其の二
満川風雨独憑欄 満川(まんせん)の風雨 独り欄(らん)に憑(よ)る
綰結湘娥十二鬟 綰結(わんけつ)す 湘娥(しょうが)の十二鬟(じゅうにかん)
可惜不当湖水面 惜(おし)むべし 湖水の面(めん)に当たらず
銀山堆裏看青山 銀山堆裏(ぎんざんたいり) 青山(せいざん)を看(み)る
⊂訳⊃
一面の風雨 ひとりで欄干に寄りかかる
結いあげた 湘娥の十二鬟のようだ
残念ながら 湖面に映っているというわけにはいかず
山のような波の向こうに 青い山が覗いている
⊂ものがたり⊃ 其の二の詩は「満川の風雨」のなか岳陽楼から眺める君山の景色です。岳州は洞庭湖の水が長江に流れでる湖口にあるので、「川」といっても間違いではありません。「綰結」は髪を結うこと。欄干に寄りかかって見る君山は湘娥(娥皇)の「十二鬟」(結髪の型)のようだと詠います。
後半の二句は劉禹錫の「洞庭を望む」(ティェンタオの自由訳漢詩2121、2014.12.29のブログ参照)の転結句を意識しており、残念ながら君山は湖面に姿を映していないと詠います。劉禹錫の「白銀盤」が鏡のような湖面であるのに対して、黄庭堅の「銀山堆」はうずたかく盛り上がる波の比喩で、その向こうに「青山」が顔を覗かせているだけだというのです。
黄庭堅はこのあと太平州に着任しますが、わずか九日で免職になり、宜州に貶謫されます。それはこの年、向太后が崩じて徽宗の親政になり、蔡京(さいきょう)を宰相に任じて新法政策に転じたからです。国政を謗ったという理由で黄庭堅の文集も禁書になりました。
雨中登岳陽楼 雨中 岳陽楼に登り
望君山 二首 其二 君山を望む 二首 其の二
満川風雨独憑欄 満川(まんせん)の風雨 独り欄(らん)に憑(よ)る
綰結湘娥十二鬟 綰結(わんけつ)す 湘娥(しょうが)の十二鬟(じゅうにかん)
可惜不当湖水面 惜(おし)むべし 湖水の面(めん)に当たらず
銀山堆裏看青山 銀山堆裏(ぎんざんたいり) 青山(せいざん)を看(み)る
⊂訳⊃
一面の風雨 ひとりで欄干に寄りかかる
結いあげた 湘娥の十二鬟のようだ
残念ながら 湖面に映っているというわけにはいかず
山のような波の向こうに 青い山が覗いている
⊂ものがたり⊃ 其の二の詩は「満川の風雨」のなか岳陽楼から眺める君山の景色です。岳州は洞庭湖の水が長江に流れでる湖口にあるので、「川」といっても間違いではありません。「綰結」は髪を結うこと。欄干に寄りかかって見る君山は湘娥(娥皇)の「十二鬟」(結髪の型)のようだと詠います。
後半の二句は劉禹錫の「洞庭を望む」(ティェンタオの自由訳漢詩2121、2014.12.29のブログ参照)の転結句を意識しており、残念ながら君山は湖面に姿を映していないと詠います。劉禹錫の「白銀盤」が鏡のような湖面であるのに対して、黄庭堅の「銀山堆」はうずたかく盛り上がる波の比喩で、その向こうに「青山」が顔を覗かせているだけだというのです。
黄庭堅はこのあと太平州に着任しますが、わずか九日で免職になり、宜州に貶謫されます。それはこの年、向太后が崩じて徽宗の親政になり、蔡京(さいきょう)を宰相に任じて新法政策に転じたからです。国政を謗ったという理由で黄庭堅の文集も禁書になりました。