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ティェンタオの自由訳漢詩 2233

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 北宋58ー王安石
    新 花               新 花

  老年少忻豫     老年(ろうねん)  忻豫(きんよ)少(まれ)なり
  況復病在牀     況(いわ)んや復(ま)た  病(や)んで牀(しょう)に在るをや
  汲水置新花     水を汲(く)んで新花(しんか)を置き
  取慰此流芳     慰めを此の流芳(りゅうほう)に取る
  流芳秖須臾     流芳  秖(た)だ須臾(しゅゆ)のみ
  我亦豈久長     我れも亦   豈(あに)  久長(きゅうちょう)ならんや
  新花与故吾     新しき花と  故(ふる)き吾(われ)と
  已矣両可忘     已(や)んぬるかな  両(ふた)つながら忘る可(べ)し

  ⊂訳⊃
          老年となった今  心浮き立つこともない
          まして病をえて  寝台に寝ている身だ
          水を汲んで    咲いたばかりの花をそばに置き
          花の香りに    慰めを求める
          だが花の香りも  わずかなあいだのこと
          わたし自身も   長いことはないだろう
          新しい花と     老いた自分
          もはやこれまで  両方とも忘れるがよい


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「新花」は「絶筆」と題されているテキストがあり、王安石の最後の心境を述べる詩とみられています。元祐元年(1086)四月、司馬光が登用されて新法が廃止されるとき王安石は病に臥していました。
 前半は寝台に寝ているときの心境で、心は浮き立たちません。切花を生けてもらい近くに置いて、花の香りに慰めを求めていると詠います。後半は「新花」(咲いたばかりの花)からの感慨です。花の香りのように自分の命も長くはないだろうと思います。そして結びの二句で、「新しき花と 故き吾」といい、両方とも忘れるがよいと突き抜けたような言葉で結びます。

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