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ティェンタオの自由訳漢詩 2232

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 北宋57ー王安石
     江 上                 江 上

  江北秋陰一半開   江北(こうほく)の秋陰(しゅういん)  一半(いっぱん)開き
  暁雲含雨却低回   暁雲(ぎょううん)   雨を含んで却(かえ)って低回(ていかい)す
  青山繚繞疑無路   青山(せいざん)   繚繞(りょうじょう)して路(きち)無きかと疑えば
  忽見千帆隠映来   忽(たちま)ち見る  千帆(せんぱん)の隠映(いんえい)して来たるを

  ⊂訳⊃
          長江の北に広がる秋  くもり空はなかば晴れ

          雨もよいの朝雲が   低く去りがたく漂っている

          緑の山に囲まれて   路は行き止まりかと疑えば

          眼下に臨む無数の帆 見え隠れしながら寄せて来る


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「江上」(こうじょう)は長江のほとりの意味です。峠を越えて長江を北に臨んだときの叙景と考えられますが、比喩が含まれています。元豊八年(1085)三月、神宗が三十八歳の若さで崩じ哲宗が即位すると、旧法党が復活して新法反対の声が湧き起こってきました。結句の「忽ち見る 千帆の隠映して来たるを」はそうした政事情勢を諷するものでしょう。

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