北宋57ー王安石
江 上 江 上
江北秋陰一半開 江北(こうほく)の秋陰(しゅういん) 一半(いっぱん)開き
暁雲含雨却低回 暁雲(ぎょううん) 雨を含んで却(かえ)って低回(ていかい)す
青山繚繞疑無路 青山(せいざん) 繚繞(りょうじょう)して路(きち)無きかと疑えば
忽見千帆隠映来 忽(たちま)ち見る 千帆(せんぱん)の隠映(いんえい)して来たるを
⊂訳⊃
長江の北に広がる秋 くもり空はなかば晴れ
雨もよいの朝雲が 低く去りがたく漂っている
緑の山に囲まれて 路は行き止まりかと疑えば
眼下に臨む無数の帆 見え隠れしながら寄せて来る
⊂ものがたり⊃ 詩題の「江上」(こうじょう)は長江のほとりの意味です。峠を越えて長江を北に臨んだときの叙景と考えられますが、比喩が含まれています。元豊八年(1085)三月、神宗が三十八歳の若さで崩じ哲宗が即位すると、旧法党が復活して新法反対の声が湧き起こってきました。結句の「忽ち見る 千帆の隠映して来たるを」はそうした政事情勢を諷するものでしょう。
江 上 江 上
江北秋陰一半開 江北(こうほく)の秋陰(しゅういん) 一半(いっぱん)開き
暁雲含雨却低回 暁雲(ぎょううん) 雨を含んで却(かえ)って低回(ていかい)す
青山繚繞疑無路 青山(せいざん) 繚繞(りょうじょう)して路(きち)無きかと疑えば
忽見千帆隠映来 忽(たちま)ち見る 千帆(せんぱん)の隠映(いんえい)して来たるを
⊂訳⊃
長江の北に広がる秋 くもり空はなかば晴れ
雨もよいの朝雲が 低く去りがたく漂っている
緑の山に囲まれて 路は行き止まりかと疑えば
眼下に臨む無数の帆 見え隠れしながら寄せて来る
⊂ものがたり⊃ 詩題の「江上」(こうじょう)は長江のほとりの意味です。峠を越えて長江を北に臨んだときの叙景と考えられますが、比喩が含まれています。元豊八年(1085)三月、神宗が三十八歳の若さで崩じ哲宗が即位すると、旧法党が復活して新法反対の声が湧き起こってきました。結句の「忽ち見る 千帆の隠映して来たるを」はそうした政事情勢を諷するものでしょう。