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ティェンタオの自由訳漢詩 2230

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 北宋55ー王安石
     北 山                 北 山

  北山輸緑漲横陂   北山(ほくざん)  緑を輸(おく)って  横陂(おうは)に漲(みなぎ)る
  直塹囘塘灎灎時   直(あたか)も   囘塘(かいとう)を塹(ほ)って  灎灎(えんえん)の時(とき)
  細数落花因坐久   細(こまや)かに落花(らっか)を数うるは   坐すること久しきに因(よ)る
  緩尋芳草得帰遅   緩(ゆるや)かに芳草(ほうそう)を尋ぬれば  帰ること遅きを得(え)たり

  ⊂訳⊃
          北の山から緑は溢れて   堤までつらなり

          造ったばかりの掘割に   波は煌めき揺れている

          散りゆく花を数えるのは  坐ったままでいるからだ

          ゆっくり草花を訪ねると   家に帰るのも遅くなる


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「北山」は鐘山のことです。王安石は元豊二年(1079)から元祐元年(1086)まで八年間、鐘山南麓の隠棲地で過ごしました。はじめ二句は晩春の風景。「囘塘」はめぐる堤で、隠棲の居宅を定めてから近くに掘割をつくり、江寧府の方へ舟でゆけるようにしました。
 後半二句は閑雅な生活をやや自嘲的に詠うもので、坐って落花を数える生活であり、外へ出てゆっくり草花を見て歩くとつい家に帰るのが遅くなってしまうと詠います。   

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