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ティェンタオの自由訳漢詩 2229

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 北宋54ー王安石
     北陂杏花               北陂の杏花

  一陂春水繞花身   一陂(いっぴ)の春水(しゅんすい)  花身(かしん)を繞(めぐ)り
  身影妖嬈各占春   身影(しんえい)  妖嬈(ようじょう)  各々(おのおの)春を占(し)む
  縦被春風吹作雪   縦(たと)い春風(しゅんぷう)に吹かれて雪と作(な)るも
  絶勝南陌碾成塵   絶えて勝(まさ)る  南陌(なんぱく)に碾(し)かれて塵(ちり)と成るに

  ⊂訳⊃
          春の水が池にみち  花咲く杏の木をめぐり

          花も花影も艶やか  それぞれの春を楽しんでいる

          春風に吹かれて   花吹雪になとうとも

          路上に踏み敷かれ  塵となるよりまだましだ


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「陂」(ひ)は人工の池の堤で、池そのものを指す場合もあります。「杏花」(きょうか)はあんずの花です。隠棲地の近くに池があり、堤に杏の花が咲いていました。前半は「春水」(春の雪解け水)で満たされた池と杏の花を描きます。
 後半は花をみての感懐で、春風に吹かれて散ろうとも「南陌に碾かれて塵と成る」よりはいいと、わが身に照らして詠います。王安石の新法は神宗の在位中は引きつづきつづけられていましたので、自分を春風に吹かれて散る花びらに擬し、路上に踏みしだかれているとは思っていません。

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