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ティェンタオの自由訳漢詩 2227

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 北宋52ー王安石
     夜 直                 夜 直

  金炉香尽漏声残   金炉(きんろ)  香(こう)尽(つ)きて  漏声(ろうせい)残(ざん)す
  翦翦軽風陣陣寒   翦翦(せんせん)たる軽風(けいふう)  陣陣(じんじん)の寒(かん)
  春色悩人眠不得   春色(しゅんしょく)  人を悩ませて眠り得ず
  月移花影上欄干   月は花影(かえい)を移して欄干(らんかん)に上らしむ

  ⊂訳⊃
          香炉の香は燃えつき  漏刻の音はかすかになり

          肌寒い微風が吹いて  寒さはいよいよ身にしみる

          春の気配に悩まされ  眠ることができずにいると

          月は花影を動かして  欄干のあたりまで上らせた


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「夜直」(やちょく)は宿直のことです。翰林学士は毎夜交替で院内に宿直する定めでしたので、神宗に召し出されて翰林学士になった煕寧元年(1068)春の作とする説もあります。ここでは新法を実施していたころ、宮中に泊まりこむこともあったとする説によって解します。
 はじめの二句は寝泊まりしている部屋のようすです。「漏声」は漏刻台(水時計)が時刻を告げる音、それが余韻を残して消えてゆきます。初春でしょうか、冷えこむ夜です。後半「春色」(春の気配)が自分を悩ませて眠れないと言っていますが、色恋沙汰は想定できません。もの思いにふけることを春のせいにしているのでしょう。
 寝床からそとを見ると、月の明りで花の影が映し出されており、月の動きにつれて花影は移動し、欄干のあたりまで上ってきました。「花影」は比喩で、改革が緒につきはじめたことを比喩的に詠うものと解されます。 

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