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ティェンタオの自由訳漢詩 2221

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 北宋46ー司馬光
     初 夏              初 夏

  四月清和雨乍晴   四月  清和(せいわ)  雨  乍(たちま)ち晴る
  南山当戸転分明   南山  戸(こ)に当たって転(うた)た分明(ぶんめい)
  更無柳絮因風起   更に柳絮(りゅうじょ)の  風に因(よ)って起こる無く
  惟有葵花向日傾   惟(た)だ葵花(きか)の  日に向かって傾く有るのみ

  ⊂訳⊃
          初夏四月    雨はたちまちに晴れてさわやか

          家に向き合う南山は  いつもよりくっきりみえる

          これ以上    柳絮が風に吹かれて飛ぶこともなく

          冬葵の葉が  太陽の方へ傾いているだけだ


 ⊂ものがたり⊃ 旧暦4月は「初夏」です。詩は神宗が崩じ哲宗が即位して旧法党が召されたときの作とされています。はじめ二句はいよいよ自分の主張を生かすときが来たと、晴ればれたとした気持ちを天気に託して詠います。司馬光は洛陽にいたので「南山」は洛陽から南にのぞむ山です。
 後半の二句は寓意で、「柳絮」は新法党の者。権威に追随して騒ぎまわる小人の比喩です。「葵」(ふゆあおい)の葉は太陽に向かって向きを変える性質がありますので、天子に忠誠を誓う臣下(旧法党)の比喩になります。なお、「葵花」といっているのは葵の葉を詩的に美化した表現です。  

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