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ティェンタオの自由訳漢詩 2218

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 北宋ー邵雍
    清夜吟             清夜吟

  月到天心処     月  天心(てんしん)に到る処(ところ)
  風來水面時     風  水面(すいめん)に來たるの時(とき)
  一般清意味     一般の清(せい)意味
  料得少人知     料(はか)り得たり  人の知ること少(まれ)なるを

  ⊂訳⊃
          月が夜空の  中天にかかるころ

          風が水面に  吹き寄せるとき

          天地万物の  法則を考えてみるが

          人はその意味を  理解していないようだ


 ⊂ものがたり⊃ 唐末・五代の混乱期に儒教の伝統的な規範力は低下し、新興の仏教と道教に押されぎみでした。宋代になって世情が安定し、新しい知識層が士大夫(したいふ)として台頭するようになると、科挙の盛行とあいまって儒教は重みを増すようになりました。
 また、都市の繁栄にともなって市民社会的な意識が芽生え、天地の理を神話や伝説ではなく合理的に理解しようとする動きが起こってきます。その動きは仁宗のころ洛陽に拠っていた在野の儒学者たちによってはじまるとされています。
 邵雍(ようよう:1011ー1077)はその代表とみなされている学者です。范陽(河北省涿県)の人ですが、父親の代に共城(河南省)に移り住み、図書・天文・周易などを学びました。やがて洛陽に居を移し、図像と数学を使った独自の宇宙論を唱え、歴史哲学に及びます。神宗の煕寧初年(1068頃)、穎州(安徽省阜陽県)の団練推官に抜擢されますが受けず、在野の学者として儒学に新風を吹き込みました。神宗の煕寧十年(1077)になくなり、享年は六十七歳です。
 詩題の「清夜吟」(せいやぎん)は爽やかな夜の歌という意味ですが、清夜の感懐を述べたものではありません。はじめの二句は上を見て月の存在を示し、前を見て風が水面に吹いていると、天地の自然現象をしめします。
 後半二句は天地万物についての考えを述べるものですが、「一般の清意味」は難解です。「一般」は全体、「清意味」ははっきりした意味のない存在をいい、天地万物の法則のことです。月を見、風の動きを見ると、万物には一定の秩序があると感じるが、世間の人はそのことに気づいていないようだと詠うのです。

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