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ティェンタオの自由訳漢詩 2217

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 北宋42ー欧陽脩
    絶 句              絶 句

  冷雨漲焦陂     冷雨(れいう)   焦陂(しょうひ)に漲(みなぎ)り
  人去陂寂寞     人(ひと)去りて  陂(つつみ)  寂寞(せきばく)
  惟有霜前花     惟(た)だ霜前(そうぜん)の花のみ有りて
  鮮鮮対高閣     鮮鮮(せんせん)  高閣(こうかく)に対す

  ⊂訳⊃
          冷たい雨が降って  水は焦陂にみなぎり

          人は皆いなくなり  堤はひっそりと静か

          花だけは  霜を目前に咲いていて

          いきいきと  高殿に向かいあう


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「絶句」(ぜっく)は五言絶句ともとれますが、最後に詠うという切迫感があり、神宗の煕寧五年(1072)閏七月、臨終の直前に書き残した絶筆とされています。
 「焦陂」は穎州(安徽省阜陽県)にある灌漑用の池で景勝に地でした。その池に冷たい雨が降り、散策の人もいなくなって静かです。同志であった蘇舜欽、梅堯臣もすでに亡くなり、晩年の欧陽脩は孤独でした。「人去りて 陂 寂寞」は、訪ねて来る人もいなくなった自分を比喩的に描くものでしょう。
 そんな自分にも志は残っているというのが転結句です。「霜前の花」は霜に打たれてやがて枯れてしまう花です。そのだけは咲いていて、「高閣」、つまり朝廷に向かい合って立っていると詠います。老いても憂国の志は「鮮鮮」(活き活き)として生きていると詠うのです。

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