北宋42ー欧陽脩
絶 句 絶 句
冷雨漲焦陂 冷雨(れいう) 焦陂(しょうひ)に漲(みなぎ)り
人去陂寂寞 人(ひと)去りて 陂(つつみ) 寂寞(せきばく)
惟有霜前花 惟(た)だ霜前(そうぜん)の花のみ有りて
鮮鮮対高閣 鮮鮮(せんせん) 高閣(こうかく)に対す
⊂訳⊃
冷たい雨が降って 水は焦陂にみなぎり
人は皆いなくなり 堤はひっそりと静か
花だけは 霜を目前に咲いていて
いきいきと 高殿に向かいあう
⊂ものがたり⊃ 詩題の「絶句」(ぜっく)は五言絶句ともとれますが、最後に詠うという切迫感があり、神宗の煕寧五年(1072)閏七月、臨終の直前に書き残した絶筆とされています。
「焦陂」は穎州(安徽省阜陽県)にある灌漑用の池で景勝に地でした。その池に冷たい雨が降り、散策の人もいなくなって静かです。同志であった蘇舜欽、梅堯臣もすでに亡くなり、晩年の欧陽脩は孤独でした。「人去りて 陂 寂寞」は、訪ねて来る人もいなくなった自分を比喩的に描くものでしょう。
そんな自分にも志は残っているというのが転結句です。「霜前の花」は霜に打たれてやがて枯れてしまう花です。そのだけは咲いていて、「高閣」、つまり朝廷に向かい合って立っていると詠います。老いても憂国の志は「鮮鮮」(活き活き)として生きていると詠うのです。
絶 句 絶 句
冷雨漲焦陂 冷雨(れいう) 焦陂(しょうひ)に漲(みなぎ)り
人去陂寂寞 人(ひと)去りて 陂(つつみ) 寂寞(せきばく)
惟有霜前花 惟(た)だ霜前(そうぜん)の花のみ有りて
鮮鮮対高閣 鮮鮮(せんせん) 高閣(こうかく)に対す
⊂訳⊃
冷たい雨が降って 水は焦陂にみなぎり
人は皆いなくなり 堤はひっそりと静か
花だけは 霜を目前に咲いていて
いきいきと 高殿に向かいあう
⊂ものがたり⊃ 詩題の「絶句」(ぜっく)は五言絶句ともとれますが、最後に詠うという切迫感があり、神宗の煕寧五年(1072)閏七月、臨終の直前に書き残した絶筆とされています。
「焦陂」は穎州(安徽省阜陽県)にある灌漑用の池で景勝に地でした。その池に冷たい雨が降り、散策の人もいなくなって静かです。同志であった蘇舜欽、梅堯臣もすでに亡くなり、晩年の欧陽脩は孤独でした。「人去りて 陂 寂寞」は、訪ねて来る人もいなくなった自分を比喩的に描くものでしょう。
そんな自分にも志は残っているというのが転結句です。「霜前の花」は霜に打たれてやがて枯れてしまう花です。そのだけは咲いていて、「高閣」、つまり朝廷に向かい合って立っていると詠います。老いても憂国の志は「鮮鮮」(活き活き)として生きていると詠うのです。