北宋35ー蘇舜欽
夏 意 夏 意
別院深深夏簟清 別院(べついん) 深深(しんしん)として夏簟(かてん)清し
石榴開遍透簾明 石榴(せきりゅう) 開くこと遍(あまね)くして 簾(れん)を透(とお)して明らかなり
樹陰満地日当午 樹陰(じゅいん) 地に満ちて 日 午(ご)に当たり
夢覚流鶯時一声 夢覚めて 流鶯(りゅうおう) 時(とき)に一声(いっせい)
⊂訳⊃
離れの庭は静かで 竹の蓆がすがすがしい
石榴の花は咲き揃い 簾を通してはっきりみえる
庭一面に樹木の影 日はまさに正午の時
夢から覚めて聞く 鶯の鳴き声ひとつ
⊂ものがたり⊃ 詩題の「夏意」(かい)は夏の雰囲気、気分といった意味でしょう。「別院」は離れのことで、滄浪亭は広く離れもありました。「夏簟」(夏の竹むしろ)は夏の風物であり、その上に横になって昼寝をし目が覚めたところでしょう。
離れは静かで庭の石榴は花ざかりです。石榴の花の赤い色が、簾を透してくっきりとみえます。丁度正午の時刻で、庭一面に樹木の影がさし、鶯の鳴き声が聞こえてきました。その一声で夢から覚めたような心地がしたと詠います。
この詩は名作の誉れが高く、くっきりした印象をあたえます。一句目は夏の真昼の静けさ、二句目は石榴の燃えるような赤、三句目は光と影の対象、四句目は鳥の声。「夢覚めて」は印象的で、比喩と考えることもできるでしょう。
夏 意 夏 意
別院深深夏簟清 別院(べついん) 深深(しんしん)として夏簟(かてん)清し
石榴開遍透簾明 石榴(せきりゅう) 開くこと遍(あまね)くして 簾(れん)を透(とお)して明らかなり
樹陰満地日当午 樹陰(じゅいん) 地に満ちて 日 午(ご)に当たり
夢覚流鶯時一声 夢覚めて 流鶯(りゅうおう) 時(とき)に一声(いっせい)
⊂訳⊃
離れの庭は静かで 竹の蓆がすがすがしい
石榴の花は咲き揃い 簾を通してはっきりみえる
庭一面に樹木の影 日はまさに正午の時
夢から覚めて聞く 鶯の鳴き声ひとつ
⊂ものがたり⊃ 詩題の「夏意」(かい)は夏の雰囲気、気分といった意味でしょう。「別院」は離れのことで、滄浪亭は広く離れもありました。「夏簟」(夏の竹むしろ)は夏の風物であり、その上に横になって昼寝をし目が覚めたところでしょう。
離れは静かで庭の石榴は花ざかりです。石榴の花の赤い色が、簾を透してくっきりとみえます。丁度正午の時刻で、庭一面に樹木の影がさし、鶯の鳴き声が聞こえてきました。その一声で夢から覚めたような心地がしたと詠います。
この詩は名作の誉れが高く、くっきりした印象をあたえます。一句目は夏の真昼の静けさ、二句目は石榴の燃えるような赤、三句目は光と影の対象、四句目は鳥の声。「夢覚めて」は印象的で、比喩と考えることもできるでしょう。