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ティェンタオの自由訳漢詩 2210

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 北宋35ー蘇舜欽
     夏 意                夏 意

  別院深深夏簟清   別院(べついん)  深深(しんしん)として夏簟(かてん)清し
  石榴開遍透簾明   石榴(せきりゅう)  開くこと遍(あまね)くして  簾(れん)を透(とお)して明らかなり
  樹陰満地日当午   樹陰(じゅいん)   地に満ちて  日  午(ご)に当たり
  夢覚流鶯時一声   夢覚めて  流鶯(りゅうおう)    時(とき)に一声(いっせい)

  ⊂訳⊃
          離れの庭は静かで   竹の蓆がすがすがしい

          石榴の花は咲き揃い 簾を通してはっきりみえる

          庭一面に樹木の影   日はまさに正午の時

          夢から覚めて聞く    鶯の鳴き声ひとつ


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「夏意」(かい)は夏の雰囲気、気分といった意味でしょう。「別院」は離れのことで、滄浪亭は広く離れもありました。「夏簟」(夏の竹むしろ)は夏の風物であり、その上に横になって昼寝をし目が覚めたところでしょう。
 離れは静かで庭の石榴は花ざかりです。石榴の花の赤い色が、簾を透してくっきりとみえます。丁度正午の時刻で、庭一面に樹木の影がさし、鶯の鳴き声が聞こえてきました。その一声で夢から覚めたような心地がしたと詠います。
 この詩は名作の誉れが高く、くっきりした印象をあたえます。一句目は夏の真昼の静けさ、二句目は石榴の燃えるような赤、三句目は光と影の対象、四句目は鳥の声。「夢覚めて」は印象的で、比喩と考えることもできるでしょう。

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