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ティェンタオの自由訳漢詩 2207

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 北宋32ー蘇舜欽
     対 酒               酒に対す       (後半八句)

  侍官得来太行巓   官(かん)に侍(じ)して来たるを得たり  太行(たいこう)の巓(てん)
  太行美酒清如天   太行の美酒   清らかなること天の如し
  長歌忽発涙迸落   長歌(ちょうか)  忽ち発して  涙(なんだ)  迸落(ほうらく)し
  一飲一斗心浩然   一(ひと)たび一斗(いっと)を飲んで  心   浩然(こうぜん)
  嗟乎吾道不如酒   嗟乎(ああ)    吾(わ)が道  酒に如(し)かず
  平褫哀楽如摧朽   平らかに哀楽(あいらく)を褫(うば)うこと   朽(きゅう)を摧(くだ)くが如し
  読書百車人不知   書を読むこと百車(ひゃくしゃ)なるも  人  知らず
  地下劉怜吾与帰   地下の劉怜(りゅうれい)  吾(わ)れと与(とも)に帰(き)せん

  ⊂訳⊃
          役所の仕事で     太行山頂に来ることができ
          銘酒は清らかで    天のようだ
          思わず歌声をあげ  涙はほとばしり
          斗酒を飲みほせば  心は晴れて大きくなる
          私が目指している道は   酒におよばず
          酒は朽木を折るように   心をぬぐい去る
          山のように書物を読むが  人は私をわかってくれない
          だからわたしは    地下の劉怜に従うのだ


 ⊂ものがたり⊃ 後半八句のはじめ四句は、太行山に来て酒を飲むところです。地元の銘酒を飲めば思わず歌いたくなり、涙がながれ、心は「浩然」(気宇壮大)になります。結び四句の「吾が道」は政事改革の道でしょう、酒は「朽を摧く」ように心を平らかにしてくれますが、志を遂げることはできず、「和気」を失います。「百車」(百台の車)に載るほど沢山の書物を読んでも、人に認めてもらえず、だから私は「地下の劉怜」に帰せんと結びます。
 劉怜は竹林の七賢のひとりで、酒の徳を褒め称える「酒徳の頌」を書きました。自分の志を分かってくれる人物がいないから、酒を飲んで鬱屈を紛らすのだと詠うのです。

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