北宋32ー蘇舜欽
対 酒 酒に対す (後半八句)
侍官得来太行巓 官(かん)に侍(じ)して来たるを得たり 太行(たいこう)の巓(てん)
太行美酒清如天 太行の美酒 清らかなること天の如し
長歌忽発涙迸落 長歌(ちょうか) 忽ち発して 涙(なんだ) 迸落(ほうらく)し
一飲一斗心浩然 一(ひと)たび一斗(いっと)を飲んで 心 浩然(こうぜん)
嗟乎吾道不如酒 嗟乎(ああ) 吾(わ)が道 酒に如(し)かず
平褫哀楽如摧朽 平らかに哀楽(あいらく)を褫(うば)うこと 朽(きゅう)を摧(くだ)くが如し
読書百車人不知 書を読むこと百車(ひゃくしゃ)なるも 人 知らず
地下劉怜吾与帰 地下の劉怜(りゅうれい) 吾(わ)れと与(とも)に帰(き)せん
⊂訳⊃
役所の仕事で 太行山頂に来ることができ
銘酒は清らかで 天のようだ
思わず歌声をあげ 涙はほとばしり
斗酒を飲みほせば 心は晴れて大きくなる
私が目指している道は 酒におよばず
酒は朽木を折るように 心をぬぐい去る
山のように書物を読むが 人は私をわかってくれない
だからわたしは 地下の劉怜に従うのだ
⊂ものがたり⊃ 後半八句のはじめ四句は、太行山に来て酒を飲むところです。地元の銘酒を飲めば思わず歌いたくなり、涙がながれ、心は「浩然」(気宇壮大)になります。結び四句の「吾が道」は政事改革の道でしょう、酒は「朽を摧く」ように心を平らかにしてくれますが、志を遂げることはできず、「和気」を失います。「百車」(百台の車)に載るほど沢山の書物を読んでも、人に認めてもらえず、だから私は「地下の劉怜」に帰せんと結びます。
劉怜は竹林の七賢のひとりで、酒の徳を褒め称える「酒徳の頌」を書きました。自分の志を分かってくれる人物がいないから、酒を飲んで鬱屈を紛らすのだと詠うのです。
対 酒 酒に対す (後半八句)
侍官得来太行巓 官(かん)に侍(じ)して来たるを得たり 太行(たいこう)の巓(てん)
太行美酒清如天 太行の美酒 清らかなること天の如し
長歌忽発涙迸落 長歌(ちょうか) 忽ち発して 涙(なんだ) 迸落(ほうらく)し
一飲一斗心浩然 一(ひと)たび一斗(いっと)を飲んで 心 浩然(こうぜん)
嗟乎吾道不如酒 嗟乎(ああ) 吾(わ)が道 酒に如(し)かず
平褫哀楽如摧朽 平らかに哀楽(あいらく)を褫(うば)うこと 朽(きゅう)を摧(くだ)くが如し
読書百車人不知 書を読むこと百車(ひゃくしゃ)なるも 人 知らず
地下劉怜吾与帰 地下の劉怜(りゅうれい) 吾(わ)れと与(とも)に帰(き)せん
⊂訳⊃
役所の仕事で 太行山頂に来ることができ
銘酒は清らかで 天のようだ
思わず歌声をあげ 涙はほとばしり
斗酒を飲みほせば 心は晴れて大きくなる
私が目指している道は 酒におよばず
酒は朽木を折るように 心をぬぐい去る
山のように書物を読むが 人は私をわかってくれない
だからわたしは 地下の劉怜に従うのだ
⊂ものがたり⊃ 後半八句のはじめ四句は、太行山に来て酒を飲むところです。地元の銘酒を飲めば思わず歌いたくなり、涙がながれ、心は「浩然」(気宇壮大)になります。結び四句の「吾が道」は政事改革の道でしょう、酒は「朽を摧く」ように心を平らかにしてくれますが、志を遂げることはできず、「和気」を失います。「百車」(百台の車)に載るほど沢山の書物を読んでも、人に認めてもらえず、だから私は「地下の劉怜」に帰せんと結びます。
劉怜は竹林の七賢のひとりで、酒の徳を褒め称える「酒徳の頌」を書きました。自分の志を分かってくれる人物がいないから、酒を飲んで鬱屈を紛らすのだと詠うのです。