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ティェンタオの自由訳漢詩 2206

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 北宋31ー蘇舜欽
     対 酒               酒に対す       (前半六句)

  丈夫少也不富貴   丈夫(じょうふ)   少(わか)くして富貴(ふうき)ならず
  胡顔奔走乎塵世   胡(なん)の顔(かんばせ)ありてか  塵世(じんせい)に奔走(ほんそう)せん
  予年已壮志未行   予(よ)  年(とし)  已(すで)に壮(そう)にして  志  未(いま)だ行われず
  案上敦敦考文字   案上(あんじょう)  敦敦(とんとん)として文字(もんじ)を考う
  有時愁思不可掇   時有りて  愁思(しゅうし)  掇(と)る可(べ)からず
  崢腹中失和気   崢(そうこう)たる腹中(ふくちゅう)  和気(わき)を失う

  ⊂訳⊃
          ひとかどの男が   いまだ未熟で裕福でもない
          何の面目があって  この世の役に立てようか
          私はすでに三十歳  志を遂げることもできず
          机に向かって     文字を追いかけているだけだ
          時としてこの胸に   憂いが満ちて収拾できず
          積もり積もって    いらいらした気分になる


 ⊂ものがたり⊃ 蘇舜欽の本貫は李白と同じで、同郷人です。詩題「酒に対す」には李白とのつながりが感じられます。友人の欧陽脩も李白を高く評価していました。詩中に「予 年 已に壮にして」とあるので、進士に及第して三年ほどたった三十歳ころの作品でしょう。仕事で太行山中にゆき、酒宴の席で披露した詩と思われます。
 はじめに二句の序があり、自分の心境をのべます。「丈夫」は一人前の男。「少くして」はすでに三十歳になっているがまだ未熟という意味でしょう。つづく四句は政事改革がうまくすすまず、苛立つ気持ちを述べます。「案」は机、「敦敦」は惇とつうじ、手厚いという意味があります。くそ真面目という感じでしょう。書物を読むだけの毎日で、胸に「愁思」(憂い)が溜まって「和気」(なごやかな気分)を失うというのです。

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