北宋30ー蘇舜欽
往王順山値 王順山に往き
暴雨雷霆 暴雨雷霆に値う (後半八句)
逡巡已在天中吼 逡巡(しゅんじゅん) 已(すで)に天中(てんちゅう)の吼(ほ)ゆるに在り
有如上帝来追呼 上帝(じょうてい)の如きもの有り 来たって追呼(ついこ)す
震揺巨石当道落 巨石(きょせき) 震揺(しんよう)して道に当たって落ち
驚嘷時聞虎与貙 驚嘷(きょうこう) 時(とき)に聞く 虎と貙(ちゅ)と
俄而青巓吐赤日 俄(にわか)にして青巓(せいてん) 赤日(せきじつ)を吐(と)し
行到平地晴如初 行きて平地に到れば 晴(はれ) 初めの如し
回首絶壁尚可畏 首(こうべ)を回(めぐ)らせば 絶壁 尚(な)お畏(おそ)る可(べ)し
吁嗟神怪何所無 吁嗟(ああ) 神怪(しんかい) 何の無き所ぞ
⊂訳⊃
ためらっていると 天空の吼える音に巻きこまれ
天帝のような者が 追いかけて来るようだった
巨大な岩石が ぐらぐら揺れて道に落ち
驚いて吠えるのは 虎であろうか貙であろうか
と 思うまもなく 峰の上に真っ赤な太陽があらわれ
平地に着いた時は 元のように晴れていた
絶壁を振り返ると 恐怖がよみがえる
超自然の存在というものは かならずある
⊂ものがたり⊃ 後半八句のはじめ四句は山中が大荒れに荒れるようすです。動こうとして躊躇していると天空に大音響がして、「上帝」(天帝)のようなものが大音声をあげながら追いかけてくるような気がしました。巨大な岩石が転げ落ちてきて道をふさぎ、驚いて吠える猛獣の声がします。ここに天帝の怒りを持ち出しているのは、政事批判を意識しているからでしょう。
最後の四句では一転して嵐はやみ、雲の晴れ間から顔を出した峰の上に「赤日」(赤い太陽)があらわれます。平地に下りたときには嵐の前と同じ晴天になっていました。山の絶壁を振り返ると恐怖がよみがえり、やはり「神怪」(怪しいもの、超自然の力)は存在すると溜め息をつきます。政事改革を阻む者には天帝の怒りがくだるだろうと言っているのでしょう。
往王順山値 王順山に往き
暴雨雷霆 暴雨雷霆に値う (後半八句)
逡巡已在天中吼 逡巡(しゅんじゅん) 已(すで)に天中(てんちゅう)の吼(ほ)ゆるに在り
有如上帝来追呼 上帝(じょうてい)の如きもの有り 来たって追呼(ついこ)す
震揺巨石当道落 巨石(きょせき) 震揺(しんよう)して道に当たって落ち
驚嘷時聞虎与貙 驚嘷(きょうこう) 時(とき)に聞く 虎と貙(ちゅ)と
俄而青巓吐赤日 俄(にわか)にして青巓(せいてん) 赤日(せきじつ)を吐(と)し
行到平地晴如初 行きて平地に到れば 晴(はれ) 初めの如し
回首絶壁尚可畏 首(こうべ)を回(めぐ)らせば 絶壁 尚(な)お畏(おそ)る可(べ)し
吁嗟神怪何所無 吁嗟(ああ) 神怪(しんかい) 何の無き所ぞ
⊂訳⊃
ためらっていると 天空の吼える音に巻きこまれ
天帝のような者が 追いかけて来るようだった
巨大な岩石が ぐらぐら揺れて道に落ち
驚いて吠えるのは 虎であろうか貙であろうか
と 思うまもなく 峰の上に真っ赤な太陽があらわれ
平地に着いた時は 元のように晴れていた
絶壁を振り返ると 恐怖がよみがえる
超自然の存在というものは かならずある
⊂ものがたり⊃ 後半八句のはじめ四句は山中が大荒れに荒れるようすです。動こうとして躊躇していると天空に大音響がして、「上帝」(天帝)のようなものが大音声をあげながら追いかけてくるような気がしました。巨大な岩石が転げ落ちてきて道をふさぎ、驚いて吠える猛獣の声がします。ここに天帝の怒りを持ち出しているのは、政事批判を意識しているからでしょう。
最後の四句では一転して嵐はやみ、雲の晴れ間から顔を出した峰の上に「赤日」(赤い太陽)があらわれます。平地に下りたときには嵐の前と同じ晴天になっていました。山の絶壁を振り返ると恐怖がよみがえり、やはり「神怪」(怪しいもの、超自然の力)は存在すると溜め息をつきます。政事改革を阻む者には天帝の怒りがくだるだろうと言っているのでしょう。