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ティェンタオの自由訳漢詩 2202

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 北宋27ー梅堯臣
     小 村                小 村

  淮濶洲多忽有村   淮(わい)濶(ひろ)くして  洲(なかす)多く   忽(たちま)ち村有り
  棘籬疎敗漫為門   棘籬(きょくり)  疎(まば)らに敗(やぶ)れて 漫(みだ)りに門と為(な)す
  寒鶏得食自呼伴   寒鶏(かんけい)  食を得て  自(みずか)ら伴(とも)を呼び
  老叟無衣猶抱孫   老叟(ろうそう)   衣(い)無く  猶(な)お孫を抱(いだ)く
  野艇鳥翹唯断䌫   野艇(やてい)  鳥翹(つまだ)ちて 唯(た)だ断䌫(だんらん)
  枯桑水齧只危根   枯桑(こそう)  水齧(か)みて    只(た)だ危根(きこん)
  嗟哉生計一如此   嗟哉(ああ)   生計(せいけい)  一(いつ)に此(か)くの如くなるに
  謬入王民版籍論   謬(あやま)って 王民(おうみん)の版籍(はんせき)に入れて論ず

  ⊂訳⊃
          淮水は広くて中洲が多く  見れば寂れた村
          いばらの垣根はまばらで  破れたところが出入口だ
          痩せた鶏が  餌をみつけて仲間を呼び
          八十の翁が  冬着もなしに孫を抱く
          切れた䌫   舟が揺れて鳥が羽ばたき
          桑の木は   水に漬かって根もあらわ
          ああ  こんなに貧しい暮らしなのに
          戸籍に載せられて  厳しく税が課せられる


 ⊂ものがたり⊃ 詩題「小村」(しょうそん)は小さな村。仁宗の慶暦八年(1048)、四十七歳のとき、淮水を北上して陳州(河南省淮陽県)に赴任したときの作です。「淮」は淮水で、「忽ち村有り」には思いがけなくという語感があります。村は淮水の中洲にありました。
 中四句の対句は村の農家と岸辺のようすです。「老叟」は八十歳くらいの老人で、「衣無く」はまともな衣服もなしにの意味であって裸ではありません。つぎの対句は難解です。「野艇」は野原の川辺にある小舟、「断䌫」は舟のとも綱が切れている状態で、波に揺れています。「鳥翹」は鳥がつまだつこと、驚いて羽ばたくのでしょう。「危根」は土が水に削られて根が露出していることです。
 四句とも農家の貧しさを描いていて結びの二句につながります。結びの「版籍」は戸籍のことで課税台帳でもあります。貧しくて税を課すべきでないのに厳しい税が課されていると政事を批判するのです。 

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