初唐10ー王勃
送杜少府 杜少府の任に蜀
之任蜀川 川に之くを送る
城闕輔三秦 城闕(じょうけつ) 三秦(さんしん)に輔(ほ)たり
風煙望五津 風煙(ふうえん) 五津(ごしん)を望む
与君離別意 君と離別(りべつ)の意(い)
同是宦游人 同じく是(こ)れ宦游(かんゆう)の人
海内存知己 海内(かいだい)に知己(ちき)存せば
天涯若比粼 天涯(てんがい)も比隣(ひりん)の若(ごと)し
無為在岐路 為(な)す無かれ 岐路(きろ)に在りて
児女共霑巾 児女(じじょ)と共に巾(きん)を霑(うるお)すことを
⊂訳⊃
長安の城は 関中を護って聳え
雲煙の彼方 蜀地を望む
君と同じく 私も宮仕えの身
別れを惜しむ気持ちはよくわかる
だが 天下に理解し合える友がいれば
遠く離れて住もうとも隣人にひとしい
岐路に立って 嘆くのはやめよう
涙で巾を濡らすのは めめしことだ
⊂ものがたり⊃ 詩題の「杜少府」(としょうふ)は杜という姓の県尉のことですが、経歴は不詳です。「蜀川」(しょくせん)は蜀地に西川と東川の別があり、蜀というのに同じです。蜀のどこかの県に尉となって赴任する友人を送る詩でしょう。
「三秦」は項羽が秦を滅ぼしたとき、関中の地を三分して秦の三人の降将を封じました。そのことから関中(陝西省長安一帯)のことを「三秦」といいます。「五津」は蜀地を流れる岷江に五つの渡し場があったことから蜀の別称として用いたものです。
五句目の「知己」は、自分のことを君の理解者だと言っているのであり、理解し合える友がいれば、地の果てに離れて住もうと隣近所にいるようなものだと励まします。王勃はこのとき、自分が蜀地に追放される身になるとは夢にも思っていませんでした。
送杜少府 杜少府の任に蜀
之任蜀川 川に之くを送る
城闕輔三秦 城闕(じょうけつ) 三秦(さんしん)に輔(ほ)たり
風煙望五津 風煙(ふうえん) 五津(ごしん)を望む
与君離別意 君と離別(りべつ)の意(い)
同是宦游人 同じく是(こ)れ宦游(かんゆう)の人
海内存知己 海内(かいだい)に知己(ちき)存せば
天涯若比粼 天涯(てんがい)も比隣(ひりん)の若(ごと)し
無為在岐路 為(な)す無かれ 岐路(きろ)に在りて
児女共霑巾 児女(じじょ)と共に巾(きん)を霑(うるお)すことを
⊂訳⊃
長安の城は 関中を護って聳え
雲煙の彼方 蜀地を望む
君と同じく 私も宮仕えの身
別れを惜しむ気持ちはよくわかる
だが 天下に理解し合える友がいれば
遠く離れて住もうとも隣人にひとしい
岐路に立って 嘆くのはやめよう
涙で巾を濡らすのは めめしことだ
⊂ものがたり⊃ 詩題の「杜少府」(としょうふ)は杜という姓の県尉のことですが、経歴は不詳です。「蜀川」(しょくせん)は蜀地に西川と東川の別があり、蜀というのに同じです。蜀のどこかの県に尉となって赴任する友人を送る詩でしょう。
「三秦」は項羽が秦を滅ぼしたとき、関中の地を三分して秦の三人の降将を封じました。そのことから関中(陝西省長安一帯)のことを「三秦」といいます。「五津」は蜀地を流れる岷江に五つの渡し場があったことから蜀の別称として用いたものです。
五句目の「知己」は、自分のことを君の理解者だと言っているのであり、理解し合える友がいれば、地の果てに離れて住もうと隣近所にいるようなものだと励まします。王勃はこのとき、自分が蜀地に追放される身になるとは夢にも思っていませんでした。