北宋ー潘閬
宿霊隠寺 霊隠寺に宿す
繞寺千千万万峯 寺を繞(めぐ)る 千千万万(せんせんばんばん)の峰
満天風雪打杉松 満天の風雪(ふうせつ) 杉松(さんしょう)を打つ
地炉火煖黄昏睡 地炉(ちろ) 火(ひ)煖(あたた)かに 黄昏(こうこん)に睡(ねむ)る
更有何人似我慵 更に 何人(なんびと)か 我が慵(よう)に似たる有らんや
⊂訳⊃
寺のまわりには 無数の峰がつらなり
風雪は空に満ち 杉や松の木に吹きつける
囲炉裏の日は暖かく 日暮れに居眠りをする
この世の俺ほど けだるい気分の者がいるだろうか
⊂ものがたり⊃ 潘閬(はんろう)は生没年不詳。魏州(河北省大名県)の人です。洛陽で薬売りをしていましたが、太宗の侍従長王継恩(おうけいおん)の推薦をうけて科挙に応じ、進士の資格を与えられます。
王禹偁、寇準らと交流しますが、性格に狂妄なところがあり、法に触れて亡命します。杭州の林逋と交流するのはこのときでしょう。真宗のとき捕らえられ、赦されて滁州(安徽省滁州市)の参軍になりますが、再び法に触れ、泗水(江蘇省北部の川)のほとりで亡くなりました。
詩題の「霊隠寺」(りんいんじ)は杭州(浙江省杭州市)にある禅宗の名刹です。西湖の西側、霊隠山の麓にあり、周囲は西湖の北、西、西南につらなる山々に囲まれています。はじめの二句で山に囲まれた霊隠寺の環境を詠います。
後半二句は自己主張で、「地炉」は地面に掘って造った炉。「慵」はものうい、面倒くさいといった意味の語で、白居易の「重ねて題す」(2010.12.5のブログ参照)の詩に「日高く眠り睡り足るも猶お起くるに慵し」の句があります。囲炉裏端で日暮れに居眠りをする自分を描いて、齷齪と生きている世間の人々と違う自分の生き方を主張します。
宿霊隠寺 霊隠寺に宿す
繞寺千千万万峯 寺を繞(めぐ)る 千千万万(せんせんばんばん)の峰
満天風雪打杉松 満天の風雪(ふうせつ) 杉松(さんしょう)を打つ
地炉火煖黄昏睡 地炉(ちろ) 火(ひ)煖(あたた)かに 黄昏(こうこん)に睡(ねむ)る
更有何人似我慵 更に 何人(なんびと)か 我が慵(よう)に似たる有らんや
⊂訳⊃
寺のまわりには 無数の峰がつらなり
風雪は空に満ち 杉や松の木に吹きつける
囲炉裏の日は暖かく 日暮れに居眠りをする
この世の俺ほど けだるい気分の者がいるだろうか
⊂ものがたり⊃ 潘閬(はんろう)は生没年不詳。魏州(河北省大名県)の人です。洛陽で薬売りをしていましたが、太宗の侍従長王継恩(おうけいおん)の推薦をうけて科挙に応じ、進士の資格を与えられます。
王禹偁、寇準らと交流しますが、性格に狂妄なところがあり、法に触れて亡命します。杭州の林逋と交流するのはこのときでしょう。真宗のとき捕らえられ、赦されて滁州(安徽省滁州市)の参軍になりますが、再び法に触れ、泗水(江蘇省北部の川)のほとりで亡くなりました。
詩題の「霊隠寺」(りんいんじ)は杭州(浙江省杭州市)にある禅宗の名刹です。西湖の西側、霊隠山の麓にあり、周囲は西湖の北、西、西南につらなる山々に囲まれています。はじめの二句で山に囲まれた霊隠寺の環境を詠います。
後半二句は自己主張で、「地炉」は地面に掘って造った炉。「慵」はものうい、面倒くさいといった意味の語で、白居易の「重ねて題す」(2010.12.5のブログ参照)の詩に「日高く眠り睡り足るも猶お起くるに慵し」の句があります。囲炉裏端で日暮れに居眠りをする自分を描いて、齷齪と生きている世間の人々と違う自分の生き方を主張します。