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ティェンタオの自由訳漢詩 2187

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 北宋ー潘閬
    宿霊隠寺             霊隠寺に宿す

  繞寺千千万万峯   寺を繞(めぐ)る  千千万万(せんせんばんばん)の峰
  満天風雪打杉松   満天の風雪(ふうせつ)   杉松(さんしょう)を打つ
  地炉火煖黄昏睡   地炉(ちろ)  火(ひ)煖(あたた)かに  黄昏(こうこん)に睡(ねむ)る
  更有何人似我慵   更に  何人(なんびと)か  我が慵(よう)に似たる有らんや

  ⊂訳⊃
          寺のまわりには  無数の峰がつらなり

          風雪は空に満ち  杉や松の木に吹きつける

          囲炉裏の日は暖かく  日暮れに居眠りをする

          この世の俺ほど  けだるい気分の者がいるだろうか


 ⊂ものがたり⊃ 潘閬(はんろう)は生没年不詳。魏州(河北省大名県)の人です。洛陽で薬売りをしていましたが、太宗の侍従長王継恩(おうけいおん)の推薦をうけて科挙に応じ、進士の資格を与えられます。
 王禹偁、寇準らと交流しますが、性格に狂妄なところがあり、法に触れて亡命します。杭州の林逋と交流するのはこのときでしょう。真宗のとき捕らえられ、赦されて滁州(安徽省滁州市)の参軍になりますが、再び法に触れ、泗水(江蘇省北部の川)のほとりで亡くなりました。
 詩題の「霊隠寺」(りんいんじ)は杭州(浙江省杭州市)にある禅宗の名刹です。西湖の西側、霊隠山の麓にあり、周囲は西湖の北、西、西南につらなる山々に囲まれています。はじめの二句で山に囲まれた霊隠寺の環境を詠います。
 後半二句は自己主張で、「地炉」は地面に掘って造った炉。「慵」はものうい、面倒くさいといった意味の語で、白居易の「重ねて題す」(2010.12.5のブログ参照)の詩に「日高く眠り睡り足るも猶お起くるに慵し」の句があります。囲炉裏端で日暮れに居眠りをする自分を描いて、齷齪と生きている世間の人々と違う自分の生き方を主張します。

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