Quantcast
Channel: 漢詩を楽しもう
Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

ティェンタオの自由訳漢詩 2177

$
0
0
 北宋2ー李
   搗練子令 其二        搗練子令  其の二

  深院静          深院(しんいん)  静かにして
  小庭空          小庭(しょうてい)  空(むな)し
  断続寒砧断続風   断続(だんぞく)の寒砧(かんちん)  断続の風
  無奈夜長人不寝   奈(いか)んともする無し夜(よる)長くして人寝(い)ねず
  数声和月到簾櫳   数声(すうせい)  月と和(とも)に  簾櫳(れんろう)に到る

  ⊂訳⊃
          奥の座敷は静まりかえり
          小さな庭には人影もない
          とぎれとぎれの砧の音  吹く風の息づかい
          どうしたらいいの     長い夜を眠れずに
          月の明りと寂しい音が  ともに窓辺におりてくる


 ⊂ものがたり⊃ 其の二の詞は美人画の画面からさらに想像をふくらませて、絵からは聞こえるはずのない音を描写します。「深院」は庭の奥の部屋、絵の舞台であり、女性の部屋です。「小庭 空し」は庭にひとけがないことで、女性を訪ねて来る人がいません。砧の音がとぎれとぎれに聞こえてくるだけです。
 四句目と五句目は女性の嘆きの声であり、秋の夜長を眠ることができず、寂しい音が月の光といっしょに窓辺を訪れるだけだと、思う人の来ないのを悲しむのです。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

Trending Articles