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ティェンタオの自由訳漢詩 2172

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 晩唐43ー韓偓
     曲江秋日              曲江秋日

  斜煙縷縷鷺鷥棲   斜煙(しゃえん)縷縷(るる)として  鷺鷥(ろし)棲(す)み
  藕葉枯香折野泥   藕葉(ぐうよう)香(こう)を枯らして  野泥(やでい)に折(お)る
  有箇高僧入図画   箇(こ)の高僧(こうそう)有りて    図画(とが)に入り
  把経吟立水塘西   経(きょう)を把(と)りて吟じ立つ   水塘(すいとう)の西

  ⊂訳⊃
          煙は細く斜めに伸び  白鷺が棲んでいる

          蓮の葉は枯れ  泥土の上で折れ曲がる

          溜池の西に   高僧が立って経巻を読む

          まるで一幅の  絵画のなかにいるように


 ⊂ものがたり⊃ 若いころ艷詩に興じた韓偓も、時代の激変に遭って変わらざるをえません。詩は滅びゆく唐の栄華の跡を詠い、寂しさに満ちかつ美しいものに一転します。
 詩題の「曲江」(きょくこう)は唐の華やかな時代の象徴です。秋の一日、曲江を訪ねると、農家の炊煙が細くたなびき、あたりは鷺の棲みかになっていました。曲江の池の蓮も枯れて、泥土のうえで折れ曲がっています。
 鄙びた「水塘」(溜池)の西の堤で、吟じるような声で経典を読んでいる僧がいました。その姿はまるで絵画のなかにいるように、あたりの寂しい風景にとけ込んでいました。曲江はもはや華やかな遊宴の場ではなくなっていました。 

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