晩唐36ー王駕
晴景 晴景
雨前初見花間葉 雨前(うぜん) 初めて見る 花間(かかん)の葉
雨後兼無葉底花 雨後(うご) 兼ねて無し 葉底(ようてい)の花
蛺蝶飛来過牆去 蛺蝶(きょうちょう) 飛び来たり牆(かき)を過ぎて去る
却疑春色在隣家 却(かえ)って疑う春色(しゅんしょく)の隣家に在るかと
⊂訳⊃
雨の前には 花のあいだに葉が見えていた
雨の後には 葉のあいだに花はなくなる
蝶々が飛んできて 垣根を越えていく
春の気配は 隣に移ったのかとつい思ってしまうのだ
⊂ものがたり⊃ 王駕(おうが)は生没年不詳。昭宗の大順元年(890)に進士に及第、官途に就きますが、十七年後、哀帝の天祐四年(907)に唐は滅亡します。
詩題の「晴景」(せいけい)は晴れた日の景色。春の終わりの眺めを淡々と詠っているようですが、比喩があります。雨前・雨後と並べてあり、雨は『詩経』の昔から苦難の象徴、逆境の喩えです。初唐以来、花は夢や希望の喩えとして用いられていますので、黄巣の乱後は夢も希望も無くなったといいたいのです。
結句の「却って」は意外な成り行きになることを表す接続詞で、なんとまあといった気分でしょう。蝶が垣根を越えて隣家のほうに飛んでいったと驚きますが、これははやばやと蜀などの興国に鞍替えする朝臣を皮肉るのでしょう。
晴景 晴景
雨前初見花間葉 雨前(うぜん) 初めて見る 花間(かかん)の葉
雨後兼無葉底花 雨後(うご) 兼ねて無し 葉底(ようてい)の花
蛺蝶飛来過牆去 蛺蝶(きょうちょう) 飛び来たり牆(かき)を過ぎて去る
却疑春色在隣家 却(かえ)って疑う春色(しゅんしょく)の隣家に在るかと
⊂訳⊃
雨の前には 花のあいだに葉が見えていた
雨の後には 葉のあいだに花はなくなる
蝶々が飛んできて 垣根を越えていく
春の気配は 隣に移ったのかとつい思ってしまうのだ
⊂ものがたり⊃ 王駕(おうが)は生没年不詳。昭宗の大順元年(890)に進士に及第、官途に就きますが、十七年後、哀帝の天祐四年(907)に唐は滅亡します。
詩題の「晴景」(せいけい)は晴れた日の景色。春の終わりの眺めを淡々と詠っているようですが、比喩があります。雨前・雨後と並べてあり、雨は『詩経』の昔から苦難の象徴、逆境の喩えです。初唐以来、花は夢や希望の喩えとして用いられていますので、黄巣の乱後は夢も希望も無くなったといいたいのです。
結句の「却って」は意外な成り行きになることを表す接続詞で、なんとまあといった気分でしょう。蝶が垣根を越えて隣家のほうに飛んでいったと驚きますが、これははやばやと蜀などの興国に鞍替えする朝臣を皮肉るのでしょう。