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ティェンタオの自由訳漢詩 2163

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 晩唐33ー鄭谷
   淮上与友人別         淮上にて友人と別る

  揚子江頭楊柳春   揚子江頭(ようすこうとう)  楊柳(ようりゅう)の春
  楊花愁殺渡江人   楊花(ようか)愁殺(しゅうさつ)す  江(こう)を渡る人
  数声風笛離亭晩   数声(すうせい)の風笛(ふうてき)  離亭(りてい)の晩
  君向瀟湘我向秦   君は瀟湘(しょうしょう)に向かい  我(わ)れは秦(しん)に向かう

  ⊂訳⊃
          揚子江のほとり  楊柳の春はたけなわ

          舞い散る柳絮は  渡江する人の心をみだす

          今宵駅亭で別れの宴  笛の音が風のまにまに聞こえてくる

          君は瀟湘に向かい   わたしは長安にもどるのだ


 ⊂ものがたり⊃ 鄭谷(ていこく:851?ー910?)は袁州宜春(江西省宜春県)の人。僖宗が都に帰還した二年後の光啓三年(887)に、三十七歳くらいで進士に及第します。右拾遺をへて都官郎中にいたりますが、唐の滅亡後三年、梁の開平四年(910)ころになくなります。享年六十歳くらいです。
 詩題の「淮上」(わいじょう)は淮水のほとりの意味ですので、長江下流部をさす「揚子江」とあいません。「瀟湘」は湖南の地、「秦」は唐都長安の意味ですが、動乱の時代、西と東に別れる宴の席は平和な時代とは違ったでしょう。湖南は比較的平和であり、長安は動乱に直面していました。

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