Quantcast
Channel: 漢詩を楽しもう
Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

ティェンタオの自由訳漢詩 2159

$
0
0
 晩唐30ー陸亀蒙
   和襲美酒病偶作        襲美の酒病偶作に和す

  柳疏桐下晩窓明   柳(やなぎ)疏(そ)にして桐(きり)下り  晩窓(ばんそう)明るし
  秖有微風為折酲   秖(た)だ微風(びふう)の為に酲(てい)を折る有り
  唯缺白綃籠解散   唯(た)だ白綃(はくしょう)の解散を籠(つつ)むを缺(か)く
  洛生詠両三声   洛生(らくせい)  (のどか)に詠ず  両三声(りょうさんせい)

  ⊂訳⊃
          柳の葉は疎らに桐は葉が落ち  夜中でも窓は明るい

          そよ風が吹いて     二日酔いにはきき目がある

          解散を被ればよいが  白絹の持ち合わせがなく

          洛生の調べに乗せて  のどかに詠う二声三声


 ⊂ものがたり⊃ 皮日休の「酒病偶作」に和した詩です。秋でしょう。柳の葉は疎らになり、桐の葉も落ちて、窓辺に月明りがさすようになりました。「酲」は皮日休の詩にも出てくる二日酔いのことで、「微風」は二日酔いによいと詠います。
 さらによいのは「解散」という頭巾ですが、それに使う「白綃」(白絹の布)がないと詠います。「解散」は六朝の王倹(おうけん)が愛用した頭巾で、風通しがよかったといいます。
 「洛生」は六朝時代に流行した曲で、多くの名士が替え歌をつくっています。皮日休が「蛤蜊を売る声」と詠ったのに対して、洛生詠でのどかに詠うのもいいでしょうと答えるのです。
 二組の唱和の詩を比べてみると、皮日休のほうは元気旺盛、陸亀蒙は控え目に応じていますが、詩を佳句で締めくくる技に冴えがあります。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 554

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>