晩唐30ー陸亀蒙
和襲美酒病偶作 襲美の酒病偶作に和す
柳疏桐下晩窓明 柳(やなぎ)疏(そ)にして桐(きり)下り 晩窓(ばんそう)明るし
秖有微風為折酲 秖(た)だ微風(びふう)の為に酲(てい)を折る有り
唯缺白綃籠解散 唯(た)だ白綃(はくしょう)の解散を籠(つつ)むを缺(か)く
洛生詠両三声 洛生(らくせい) (のどか)に詠ず 両三声(りょうさんせい)
⊂訳⊃
柳の葉は疎らに桐は葉が落ち 夜中でも窓は明るい
そよ風が吹いて 二日酔いにはきき目がある
解散を被ればよいが 白絹の持ち合わせがなく
洛生の調べに乗せて のどかに詠う二声三声
⊂ものがたり⊃ 皮日休の「酒病偶作」に和した詩です。秋でしょう。柳の葉は疎らになり、桐の葉も落ちて、窓辺に月明りがさすようになりました。「酲」は皮日休の詩にも出てくる二日酔いのことで、「微風」は二日酔いによいと詠います。
さらによいのは「解散」という頭巾ですが、それに使う「白綃」(白絹の布)がないと詠います。「解散」は六朝の王倹(おうけん)が愛用した頭巾で、風通しがよかったといいます。
「洛生」は六朝時代に流行した曲で、多くの名士が替え歌をつくっています。皮日休が「蛤蜊を売る声」と詠ったのに対して、洛生詠でのどかに詠うのもいいでしょうと答えるのです。
二組の唱和の詩を比べてみると、皮日休のほうは元気旺盛、陸亀蒙は控え目に応じていますが、詩を佳句で締めくくる技に冴えがあります。
和襲美酒病偶作 襲美の酒病偶作に和す
柳疏桐下晩窓明 柳(やなぎ)疏(そ)にして桐(きり)下り 晩窓(ばんそう)明るし
秖有微風為折酲 秖(た)だ微風(びふう)の為に酲(てい)を折る有り
唯缺白綃籠解散 唯(た)だ白綃(はくしょう)の解散を籠(つつ)むを缺(か)く
洛生詠両三声 洛生(らくせい) (のどか)に詠ず 両三声(りょうさんせい)
⊂訳⊃
柳の葉は疎らに桐は葉が落ち 夜中でも窓は明るい
そよ風が吹いて 二日酔いにはきき目がある
解散を被ればよいが 白絹の持ち合わせがなく
洛生の調べに乗せて のどかに詠う二声三声
⊂ものがたり⊃ 皮日休の「酒病偶作」に和した詩です。秋でしょう。柳の葉は疎らになり、桐の葉も落ちて、窓辺に月明りがさすようになりました。「酲」は皮日休の詩にも出てくる二日酔いのことで、「微風」は二日酔いによいと詠います。
さらによいのは「解散」という頭巾ですが、それに使う「白綃」(白絹の布)がないと詠います。「解散」は六朝の王倹(おうけん)が愛用した頭巾で、風通しがよかったといいます。
「洛生」は六朝時代に流行した曲で、多くの名士が替え歌をつくっています。皮日休が「蛤蜊を売る声」と詠ったのに対して、洛生詠でのどかに詠うのもいいでしょうと答えるのです。
二組の唱和の詩を比べてみると、皮日休のほうは元気旺盛、陸亀蒙は控え目に応じていますが、詩を佳句で締めくくる技に冴えがあります。