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ティェンタオの自由訳漢詩 2158

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 晩唐29ー陸亀蒙
   和襲美春タ酒醒        襲美の春タ酒醒に和す

  幾年無事傍江湖   幾年(いくねん)事(こと)無く  江湖(こうこ)に傍(よ)る
  酔倒黄公旧酒壚   酔いて倒(たお)る   黄公(こうこう)旧酒壚(きゅうしゅろ)
  覚後不知明月上   覚(さ)めて後(あと)知らず   明月(めいげつ)上り
  満身花影倩人扶   満身の花影(かえい)  人の扶(たすけ)を倩(こ)いしを

  ⊂訳⊃
          江湖に隠棲して  こともなく歳月は過ぎる

          竹林の七賢は   黄公の酒場で酔っぱらう

          明月に照らされ  満身に花の影

          酔いが醒めても  扶け起こされたのを覚えていない


 ⊂ものがたり⊃ 詩題の「襲美」(しゅうび)は皮日休の字(あざな)で、皮日休の「春タ酒醒」に和した詩です。起句によると陸亀蒙はすでに郷里に隠棲していたようです。
 「黄公」は竹林の七賢が通った「酒壚」(居酒屋)の主人で、阮籍(げんせき)や嵆康(けいこう)たちは黄公の酒場で酔いつぶれるのを常としていました。皮日休を竹林の七賢に喩えるのです。後半二句は皮日休の酔いっぷりを暖かい目で描きます。「満身の花影 人の扶を倩いしを」は佳句とされています。

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